遅れてきた統一地方選、悪しき議会の慣例とは
東北にも選挙の時期がやってきた。
この7月~9月にかけて、東北地方とりわけ
東日本大震災で被災した宮城・岩手・福島の「被災三県」
では、統一地方選挙から大幅に遅れて、各自治体の首長・議会選が
行われる。
選挙日程を戻すことは難しいのか?
「もう震災から11年も経つというのに、なぜ元に戻さないの?」
という疑問が出ることはごもっとも。僕も元に戻してほしい。
世間と乖離している感覚というのは、どうにも具合が悪い。
この感覚は、七夕のようなものである*1。
そんなわけで、親しい県議にもどうにかならないか聞いたことがある。
県議は理解をしてくれたが「うーん、法律を変えなきゃいけないんでねえ…」と
いうことであった。東日本大震災が発生したのが3月11日。
議員の任期満了が5月であったから、1カ月やそこらでは選挙の準備もままならない。
そんなわけで、国は「東日本大震災地方選特例法」を施行し
選挙を延期することを可能としたのである。
それで何が起こったかといえば、一番大きいのは任期満了の日付である。
当然だが、地方の首長・議員の任期は当選してから4年である。
7月に選挙をやってしまえば、任期満了も必然的に7月となり、その結果
次回の選挙もそれに合わせた日程で行うことが慣例化してしまう。
議員の任期を繰り下げて選挙を行うのであれば、新たに法律を改正しなきゃ
ならず、議員側にうま味がないために消極的なのである。
行政と議会の「出来レース」
もう一つ方法があるとすれば、首長による解散である。
議会を解散するのは首長の専権事項だから、統一地方選の時期に
解散をすれば良いのであるが、ここにも議会の論理が働いていて
通常、首長が解散をするためには大義名分が要る。
例えば不信任決議が出されて可決した場合、ただし、よほどのことが
ない限り出されることはないし、可決することはさらに稀だ。
さらにいうと、首長は大体当局側(行政側)にいて
会派代表者と打ち合わせの上議会に臨むわけであるから
「この議会で解散します」なんてやろうものなら
議会は首長にそっぽを向くし、首長の選挙に支援に入るものはいなくなる。
つまり、首長が自身のカラーを打ち出すことはほとんどないのである。
全ては行政と議会とのパワーバランスで成り立っている。
これが地方政治であり、こんな出来レースくだらねえ!
ってことで政治不信が起き、投票率も下がる。
それでも、昔からの支持者はこれで良いと思っているし
議員側も行政も抜本的に変えようとは思わない。
統一地方選の日程から、実はここまで掘り下げることができる。
どうにかこの地方議会に風穴を、蟻の一穴でも入れられれば
変わってくるのであろう。
*1:仙台では七夕は旧暦に合わせ8月7日である