独裁者が転生?「帰ってきたムッソリーニ」が密かな人気
ヒトラーばかりが独裁者としては目立っているが
彼はムッソリーニに影響された部分が極めて多い。
やプロパガンダ政策を真似たことでも知られる。
ただイタリア自体がドイツに国力、軍事力ともに劣っていたことや
戦争途中で失脚したことなどが原因となって、詳細な業績はさほど知られていない。
ムッソリーニは結局、パルチザンに捕まり、銃殺された上に遺体を愛人の
クラレッタ・ペタッチとともにガソリンスタンドで吊るされたわけだが
そのムッソリーニが現代に転生したらどうなる?という映画
「帰ってきたムッソリーニ」が密かな人気となっている。
イタリアのルカ・ミニエーロ監督が「帰ってきたヒトラー」に着想を得て制作。
現代に転生したムッソリーニは、当然本人と思われず、そっくりさんだとして
テレビショーに見出され、持ち前のカリスマと演説力で
大きな人気を得ていくのであるが、最初は冗談で受けていたら
徐々に大衆の支持を得ていくのである。それこそが彼の狙いだと知らずに。
「帰ってきたヒトラー」でもそうだったが、ムッソリーニでもオープンカーで
走って沿道の一般人から敬礼(イタリアでは手を高く掲げるローマ式敬礼は
法律で禁止されている)されたり、実際に極右政党に乗り込んだりと
体を張った作品となっている。
「ヒトラー」と違うのは、ムッソリーニの演説がかなりぼかされていること。
それから現在の政治家を批判しないこと(「ヒトラー」ではメルケル首相を「豚」と
呼び、社会民主党もルンペンとこき下ろしている)
脚本がそうなのか、わざとそうしているのかわからないが
実際のムッソリーニの演説と比べても、全く内容が入ってこない。
下記動画は実際のムッソリーニの対米宣戦布告の演説である。
【日本語字幕】ムッソリーニ演説 - 対米宣戦布告 1941 年 12 月 11 日
ただ、独裁者が転生して大衆の支持を得るというのは
現在の政治がいかに不信の塊となっているかを痛感する。
わが国でも、政治というと何かしら胡散臭いイメージがある。
本来なら政治こそが国家の要諦であり、人類の歴史そのものと言って
良いのであるが。「独裁」とは、その名の通り、特定の政党や指導者に
権力が集中する政治体制で、アフリカやタイで起こるようなクーデターでの
権力掌握や、選挙で一党が議会を独占する「一党独裁」という方法がある。
また、サウジアラビアのような絶対君主制も少数ながら現存している。
ドイツとイタリアでは、選挙での一党独裁を実現させた手法で
国民が独裁制を選んだ結果である。プロセスは民主主義的手順を踏んではいるが
独裁制は民主主義を否定するもので、いつの時代でも起こり得る結果だ。
独裁主義に支持する層が増えている?
大衆は一定数、現在の政治にうんざりし、独裁主義を支持していることだ。
わが国は独裁主義であったことはないし、対米戦中でも首相は3回変わっている。
どうなったであろうか。いろいろな可能性が考えられるであろう。
その一つの物語として、本作は参考になるのではないだろうか。
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