白雉日報社公式ブログ

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イラクの(何度目かの)民主主義は失敗した

中東・イラクで続いている
イスラムスンニ派武装組織イラクとシャームのイスラム国家(略称、ISIS)
による攻勢は留まるところを知らない。
すでにバグダッドより北西部の大部分を制圧し
同国第二の都市、モスルも占領。22日にはヨルダン国境地帯を
手中に収めた模様だ。
イラクのマリキ政権は、米国にISIS拠点への空爆を要請。
米国は空爆に難色を示し、代わりに軍事顧問団を派遣するという。
マリキ政権に対しては、イランとロシアが支持を表明。
イランはすでに革命防衛隊を送り込んでいるという情報がある*1
米国はイランと、イラク情勢について協議しており
ここに来て、米国は対立するロシア、イランと図らずも
共同戦線を構築することになってしまった形だ。
なぜイランが親米派のマリキ政権を支持するかといえば
イランはイスラム教の中でもシーア派国家であり
マリキ首相もシーア派の政治家だ。そのため、マリキ政権の崩壊は
スンニ派の台頭を招く。イランとしてはシーア派体制を
堅持したい考え。ロシアは、中東への影響力を狙っているという見方が
なされている。


わが国はというと、外務省が6月16日にISIL(ISISと同義)
を強く非難し、イラク政府を支持。人道支援も検討するという
外務大臣談話を発表した。
経済産業省や外務省などで構成する「イラク委員会」による
情報提供も6月の更新は未だない状況であり
政府内で情報が錯綜しているか、対応に追われているものとみられる。


さて、イラクはほぼ内戦状態である。
北部はクルド人地域があり、西部はスンニ派
東部にはシーア派と、情勢は安定化する気配さえない。
とはいえ、これは米国の身から出た錆といえなくもない。
サダム・フセインを処刑し、米国式の民主主義を
導入させた結果であるといえる。
実はこれと似たケースが他国でもやっている。
そう、ソマリアである。ソマリア内戦時、米国はアルカイダ
一緒に反政府組織を支援し、独裁者モハメド・バーレを叩き出した。
その後、米国は逆に内部抗争に巻き込まれ、モガディシオでの
屈辱的な苦戦を強いられたのである。
あえて言えば、イスラム諸国、特に中東やアフリカでは
欧米型民主主義が根付かないことが証明されたケースだったのである。
であれば、強権的であっても独裁者に統治させていたほうが
うまくまとまるのではないか、と考えても不思議ではない。
もちろん、国益はどこにでもある。サダムを叩き出して
うまく石油を独占しようと思っても、逆に犠牲ばかりが出る
そして軍隊を撤退させれば、待ってましたとばかりに
反政府組織が息を吹き返す。
すでに米国は同じ事を何度も繰り返している。
米国は最後までイラクの面倒を見るか、中東の場合は独裁者でも我慢して
モンロー主義に回帰するか、選択を迫られているといえよう。

*1:イラン外務省は否定