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どっちに転んでもマイナス?踊る米国大統領選

米国の不動産王で共和党予備選挙を戦っていた
ドナルド・トランプ氏がテッド・クルーズ氏を破り
共和党の指名を確実とした。
これによりトランプ「大統領」の誕生の可能性がより高くなった。
もし、トランプ氏が大統領に当選すれば、ドワイト・アイゼンハワー元大統領以来
実に63年ぶりに現職の政治家ではない人物が大統領になる。
そのような中、欧米各メディアは「反トランプキャンペーン」を展開し
WSJ、NYT、ワシントン・ポストらは「人種差別主義者」「ヒトラーと同じ」「頭が悪い素人」
などと辛辣に非難している。
これに対し、インターネット上でもトランプ支持者と反トランプによる
壮絶な罵り合いが発生している状況だ。
国内の反応もさまざまであるが、何しろ海の向こうの出来事なだけに
「トランプになったら戦争が起きるかも」といった漠然とした不安が聞かれる。


わが国にとって、トランプ「大統領」の誕生は決して
楽観視できるものではない。4日、米軍撤退について言及したほか
米軍の駐留費を全額負担するよう主張したからである。
しかし、わが国はすでに米軍の駐留費について日米地位協定に基づき
2000億円近い駐留費を負担しているのである。
にも関わらず、さらによこせというのは実に横暴といえる。
「それなら撤退せよ」と言うのは簡単である。
自国の防衛は自国で行うべき、という主張は確かに正論であるからだ。
だが、日米で交わした安全保障条約は、一体何のために締結されたのか。
わが国の牙を抜き取り、軍事大国への道を閉ざすためではないのか。
冷戦後の緊張が緩んだ時期なら「米軍の役割は果たした」ということも可能であろう。
だが、支那南シナ海における侵略といい、北朝鮮のミサイル発射といい
韓国の竹島不法占拠といい、わが国の四方は火花が散っている。いつ導火線に移ってもおかしくはない。
にも関わらず、一方的に撤退の方針へ転換することは同盟国に対する裏切りである。
米軍の撤退は、いたずらに東アジアの混乱を増長させるだけであり、極めて危険だ。


とはいえ、米国国民がオバマ政権に嫌気がさしているのも理解できる。
イラクではISISが未だに殲滅できておらず、米軍が犠牲になっているし
シリア難民が欧州に流れ込んで地域社会を混乱に陥れている。
世界中で相次ぐテロ。世界100カ国に展開する米軍基地がいつ標的になるかもわからない。
米国国民としては「参戦する義理がない国でなぜ血を流す必要があるのか」と疑問に思うのは当然だ。
つまり、米国は再び孤立主義の道を歩もうとしているのである。
「世界の警察」である米国が撤退した後はどうなるか。火を見るより明らかとは
まさにこのことである。
とはいえ、民主党ヒラリー・クリントン氏が当選した場合も
強力なリーダーシップがとれるのか、疑問の声が上がっていることも事実だ。
わが国にとっては暗澹たる思いで眺める米国大統領選。
米国も斜陽の時期に入ったか、とある種の諦観を抱かざるを得ない。