ビブリオマニアで困っていること…
現在、放送中のアニメ「バーナード嬢曰く。」という作品をご存知だろうか。
文学に詳しい方なら、タイトルが「ピグマリオン」で有名な作家バーナード・ショーからとった
ということはすぐにおわかりになろう。
たった3分程度の作品なのだが、何気なく本作を見ていて
すぐに引き込まれてしまった。
読書家あるある、がこの数分の中にいくつも盛り込まれているのだ。
例えば、新しい本を買った時、ページ同士がひっついていて
ぺりぺりと剥がすことがあったり
個人経営の古書店は、やたら専門書を置いていたりと
読書が好きならば、一度は体験されているエピソードが語られているのである。
思えば、「R.O.D」にはじまり「ビブリア古書堂の事件手帖」など
「読書」をテーマにした作品も大分増えてきたように思う。
読書好きな皆様も、そのような作品に触れてみてはいかがだろうか。
かくいう僕も、ビブリオマニアすなわち読書マニアと呼んで差し支えないくらい
読書が好きである。書籍はアマゾンで買うことが多くなったが
書店にも通うし、古書店にも行く。
ブックオフにも行くし、個人経営の古書店にも行く。
その結果、我が部屋の本棚は本で溢れかえり、枕元にすら小さい本棚を設置しているくらいだ。
雑誌も複数定期購読しているので、本音をいうと弱り果てている状況。
最近は、新しく買うのをちょっと控えるようにして
今まで集めた本を読み返すことが多くなっている。
または、古書を解読することになろう。
古書店で狙っていた古書を見つけた時の達成感といったらない。
僕はよく、山形の古書店に買い付けに行くのだが
昭和15年に発行された、アドルフ・ヒトラー「我が闘争」邦訳版を見つけた時など
天にも昇る心地だった。映画「山本五十六」で「お前たちの読んでいるのは削除されている部分があるぞ!」
と米内光政が叱咤するシーンがあるが、まさにこの本のことかーなどと追体験したりするわけだ。
昭和17年陸軍省発行の「作戦要務令」や「歩兵操典」なども良き買い物をした。
山形の古書店というだけあって、郷土の軍人である石原莞爾中将が組織した東亜連盟の機関誌もあった。
一方仙台の古書店では、仙台城下の古地図などもあって実に地域に合った品揃えなのである。
また、古書の場合、著者のサイン付きの場合もある。ただのサインではなくて
「◯◯様 献呈 △△」
という風に、明らかに◯◯氏の身に何かが起こったために売られたとしか思えないような本もあって
逆にレアっぽさを感じてラッキーと思ったりする。
そのビブリオマニアの末席を汚す人間として、どうしても後悔していることがある。
学生時代、歴史学を専攻していた(正確には考古学)こともあり
本棚を見ると歴史書がやたら目につくのだが、歴史学徒の基準となるのは
歴史教科書でも、新聞でもなく、吉川弘文館の「国史大辞典」である。
国史大辞典は五十音順で巻数が分かれている。
僕は、ご丁寧に「あ行」からずっと買っていった。
しかし、その巨大は広辞苑もかくや、というほどである。
さすがに収納に限界を感じた僕は、今でも交遊のある仲間に相談してみた。
すると仲間の曰く「あんなもん買うものじゃないよ」。
常に必要になるものではないから、図書館で使うべきだというわけだ。
確かに、あんな重くてでかいものを本棚から引っ張り出すだけでも一苦労。
今まで少しずつ買い続けた国史大辞典の列を眺めては、忸怩たる思いに駆られる日々である。
こんなことを書き連ねていると、ついつい古本屋へ足を運びたくなる。
本に親しむ日々…そんな風に暮らしてみたいものだ。