白雉日報社公式ブログ

日本第一党東北地方の何でも屋さん。

今日は「父親たちの星条旗」を観て来ました。
私としては、非常にアメリカ的な映画だなと。
個人にスポットをあてている。1人1人にね。
その割に、硫黄島で指揮を取った司令官とか
そういうのはまったく触れてない。ただ上の横暴さが目立つだけ。
星条旗を掲げた兵士たちがどう思って
どう生きたかっていうのを描いてるんだな。
全部硫黄島の攻防戦に回帰するわけだけども。
だから、観てみればわかるけど兵士達がやたら登場する。
無名の兵士とか、従軍カメラマンとかね。
アメリカでは上の連中を題材にした映画ってのは実は少なくて
「NIXON」「JFK」そこらへんになってくるわけで。
戦争で兵士にスポットをあてるのはかなりある。
プライベート・ライアン」に始まって「ブラックホーク・ダウン」「パール・ハーバー」もそうですね。
つまりアメリカの映画は戦争ではその他大勢が国を支えたという
個人主義が浸透しているといえるでしょう。
日本の映画はそんなでもなくて
男たちの大和」でも、伊藤整一中将の役を渡哲也さんがやってるでしょう。
12月に公開の「硫黄島からの手紙」これも渡辺謙さんが栗林中将の役で主演です。
あれ、何か日本とアメリカでは違うな、というのはこういった
見方の違いでもあると私は思うのです*1
実際、栗林中将は有能な指揮官であるし、謙さんもハマり役ですしね。
見解の違いはあれ、私はこういう映画が大好きなのですよ。


以下、ネタバレを含みます。





ダメ出しをしておきましょう。
一瞬ですが日本軍の捕虜の取り扱いについて写真を持ってくるシーンがあります。
そこに写っていたのは
中国人を日本刀で処刑する日本人…といわれている悪名高い写真で
ニセモノだろうっていう説が有力視されています。
それから、ガダルカナルで玉砕した一木支隊の死体が混じってますよ。
いずれにせよ、捕虜が死んだものではないです。
米軍の捕虜を処刑した写真はない*2ので
別のとこからせしめてきても無理からぬことですが
中国軍が偽造したといわれているものや、日本軍の死体を
米軍の捕虜の死体として使われるのはいかがなものでしょうか。


それからもう1つ。
擂鉢山が攻防の舞台となったのは事実。
だけれども、普通はあそこを強化しません。
なぜならば、あまりに目立ちすぎるからです。
目立つ場所は真っ先にやられるので強化するわけがないです。
勿論、水際戦法で海岸が見晴らせる場所が必要なら話は別ですが。
でも長期戦を狙っていたわけですから、できるだけ戦力は温存したいでしょう。
であるからこそ、日本軍は地下要塞を構築したわけです。
擂鉢山は、上陸5日目にして占領されるわけですが
硫黄島全体の戦闘からするとわずか7分の1に過ぎない。
つまり序盤に早々と取られてしまうわけです。
当然、米軍も上陸3日目にして3000人の死傷者を出したわけだから
そう簡単に取られたわけではありませんが
米軍が擂鉢山目指して進行していくことは守備隊の想定内にあったことです。
そうそう、擂鉢山の砲台がやたら大活躍してましたが
うっかり先走って砲撃してしまったがために
砲爆撃によってさっさと沈黙させられていたようです。


硫黄島の戦いは、指揮官達が異色で知られています。
栗林中将始め、ロス五輪で馬術金メダリスト西竹一中佐(男爵)
市丸少将は「ルーズベルトに与ふる書」というのをしたためておられます。
さて、どういった形で出てくるのか、期待したいところです。

*1:勿論、装備の違いですとか天皇陛下のためとかそういうことはあります

*2:何でないんでしょうかね。終戦時に焼却されてしまったのか、それともワシントンにあるか、ですけど