白雉日報社公式ブログ

日本第一党東北地方の何でも屋さん。

今日は「硫黄島からの手紙」を見た。
もうね、泣いた。映画館だけど泣いたよ。
まず言いたい。クリントグッジョブ!!
米軍に媚びることなく、よくぞ忠実にやってくれた!
もう半年くらい待ち侘びた甲斐があった。
思えば、あなたは南京事件の監督もやるとかで
「はいはい、またプロパガンダに手を貸すのね」と2ちゃんねるを始め
各方面から凄まじい白眼視を受けていた。だがそれはまた事実無根であることが
発覚して、「父親たちの星条旗」も観て、おやと思った。
なにこれ、全然ハリウッドらしからぬ、ワーナーらしからぬ作品だとつい疑ってしまいました。
ドリームワークスが、こんなに仕事をするとは!
いいえ、でもいいんです。
とにかく20世紀FOXだけはこんな作品にしなかったでしょうからね*1


作品自体は、凄く考えさせられるものだった。
将兵は、主に手紙を通じて様々なコミュニケーションを取った。ここに命題がある。
米軍を知ることができるのも手紙によってであり
兵士達が心境を綴るのも手紙によってであった。
本土からの指令や、方針を知ることができるのも手紙によってであり
細かいところでは、人事異動も召集令状も手紙だった。
栗林中将の心情を知ることができるのも手紙によってであった。
手紙によって知ることのできる物語。軽きに重きがある。


栗林中将の合理的かつ開明的な考え方は、幕僚達に理解をもって
見られることは必ずしもなかったし、それが軍人にあるまじきことだってこと。
でも軍人は軍人でも、将校(管理職)と兵卒との素質の違いは確かに必要だ。
そういう意味で、セリフにあった
「軍人は鞭だけでなく、頭も使わんとな」
という指針は、実に共感できることだった。
特に、栗林中将のフランクな態度は、軍隊という縦社会の中で
兵士は親しみやすさを感じ、しかも大船に乗ったつもりで安心して命令に服することができるのだ。
部下の人心把握にも優れており、海軍の市丸少将も実に効果的に栗林中将と協調できた。
ちなみに中村獅童演じる伊藤中尉だが、見ていて
「なにやってんだこいつ」
みたいな感想を抱く。
正直、獅童じゃなくてもいいだろみたいな。
だが、これが旧軍の縮図なのかもしれないと思う。
戦術を完全に無視して、無謀なことばかりに走る士官でいながら
虜囚の辱めを受けることになるという。有能な人こそすぐ死んでしまうのだなと。
西中佐はいい役どころだった。
伊原さんは派手な役回りはあまりやってなかったから、プレイボーイの西中佐は大丈夫かなと。
でも、見事だった。準主役みたいな位置で、栗林中将の理解者でもあって
素敵だった。
だが今回最も良かったのは、二宮。
何であんなにアンニュイなのwwwと思いながら見てたけど
絶望の中ではあんな風になるんだろうと思いつつ
家族を思い、最後は栗林中将を思い、結局は思いに生きた人をよく演じてくれた。
最高の演技を見せてくれた彼に感謝したい。
だが、程度の差はあれ祖国を思い、家族を思い、そして死んでいった人達が確かにいる。
それとテーマ曲の悲哀感が合わさって感動したのであります。



さて、ショックを受けた事実が2つ。
1、米兵の軍規違反もすべて描いていること。前述のように、FOXなら待ったが入るところ。
詳細はネタバレになるので書けない。
2、栗林中将の最後も描いている。戦争映画っていうと、一番偉い人の死に様はほとんどタブーみたいな
何か気分悪いところがあった。栗林中将は特に、どこでどうやって戦死したかはわからないので
最後はまぁ司令部壕を出て行って終わりかなとかおぼろげに思っていたけど
「常識的に考えて、きっとこんな死に方をしたはずだ」とは思わなかった。
ラストサムライ」でもそうだったけど、日本人には撮れないものって確かにあるんだ。

*1:ブッシュ政権支持の最先鋒。米国一の保守系メディアと目されている。