白雉日報社公式ブログ

日本第一党東北地方の何でも屋さん。

久々に良いゲームに出会いました。
いや、実は「ひぐらしのなく頃に」なんですが
その中に「仲間とは何ぞや」と問いかけるような部分があって
フッと考えることができたので、良いなぁと思ったのです。
そこで思い出したのが、こういう故事でした。


中原にある晋の趙無恤は、父の服喪に入っていましたが
ただでさえ粗食なのに、更に粗食にしていました。
家臣の楚隆がそれを不思議に思って
「服喪に粗食にするのはわかりますが、さらに粗食にされるのは
どういうわけでしょう」と訊ねます。
すると趙無恤は答えて言うことには
「我が父は先君と共に呉と同盟を結んだが、その際『好悪を同じくせん』
と誓い合った。今呉は越によって攻められ、呉城は包囲されており
救援を求める使者が駆け込んできているが、我が国から越は遠く
それに援軍を送れる状況にない。であるから、食を細くすることで
その思いを表したいのだ」と。
そこで楚隆は自分が趙無恤の意中を呉王・夫差に伝えることにしました。
呉は中原の晋より遥か南。荊蛮と呼ばれる楚を通過し、呉まで飛んでいきます。
しかしながら、呉は越に十重二重に囲まれ、入る隙もない。
そこで楚隆は越の陣に入り込みます。
「我が君は貴国の呉討伐を非常に喜んでおります。
しかし呉は中原諸国に反間(策略を弄すること)すること度々です。
1つ私が城の内情を探ってきてみましょう」
と巧みに偽って、入城に成功しました。
夫差と面会した楚隆は、趙無恤の思いを伝えます。
「王と、我が主君は黄池において同盟を交わされました。
我が主君は王が苦難に合われていることを知り
今すぐにでも救援に駆けつけようと思っていますが
惜しいかな、我が国の国力では呉に勝つことができませぬ。
よって私を差し向けることで、我が君の気持ちをお伝えしたいのです」と。
それを聞いた夫差は、誰も援軍を送ってことで落胆していたので
大層喜んで一函の珠玉を授けました。
最後に夫差はこんなことを訊ねます。
「溺れるものは一度浮かび上がって笑うというが
貴国の史黯はなぜ君子といわれているのだろうか」
史黯は晋の大夫で、呉の滅亡を予見した人です。
その行いから、晋はおろか周辺諸国から君子の呼び声が
高かった人でした。
「史黯は家にあっても、人を謗ることがなく
官を退いても謗られることがありませんでした」
それを聞いた夫差は
「なるほど、そうである」と寂しく語りました。
それから間もなく、夫差は自殺して果て
呉は滅亡しました。
ただ、趙無恤の元には楚隆が持ち帰った夫差の珠玉があったのです。


さて、好悪を誓い合うとはどういうことか。
仲間とはどう考えれば良いのか。
この出来事からも学べることがあるのではないでしょうか。