ワールド・ロジが破産。グループ全体で負債141億6900万円
物流業を手掛けるワールド・ロジ株式会社(大阪市、森田賀典社長)が8月30日
破産手続き申し立てを大阪地裁に申請した。
これは8月30日のことだが、帝国データバンクでは関連会社の負債総額も
調査を続けており、その金額が判明したのである。
ワールド・ロジ単体では約79億5000万円となっているが
株式会社ワールド・ソリューションズら関連会社5社も含めた負債総額は約141億6900万円。
ただし、リサイクル業の株式会社リサイクル・アンド・イコール(寝屋川市)は
民事再生法適用の申請に留まっている。
ワールド・ロジは1997年12月に設立。物流コンサル業務と3PL(物流の受託業務)を中心に行い
さらにM&Aを積極的に行った結果、連結子会社11社を有し、人材サービスからドラッグストア運営まで
幅広く事業を展開、08年6月期の売上高は345.5億円を計上した。
また、04年12月には大証ヘラクレス(現、JASDAQ)に上場、新興ながらもグループを拡大していた。
ところが、07年6月期に会計監査人と意見の相違からトラブルが生じ
リーマン・ショックのあおりをもろに受ける形で、人材サービス事業などに大打撃を被った。
投資不動産の売却もうまくいかず、連結子会社の売却や不採算部門からの撤退を行っていたが
12年6月期の売上高は約56億円にとどまり、さらに約58.8億円の債務超過に陥っていた。
上場企業の倒産は、株式会社東京カソード研究所、株式会社インデックスに続き3件目。
僕はこのニュースで、かなり強い衝撃を受けていた。
今や物流業は「儲かる」と異口同音に言われていたためだ。
特に、震災の復興需要関連では、資材置場などにスペースが必要であるほか
円安が進んだことにより、倉庫業は元気な業界の一つに挙げられるようになった。
例えば三井倉庫は12年度売り上げが、前年度比50%増となったほか
ロジスティクスを中心にREITを組成しているGLP投資法人も
12年12月に上場を果たした。前述のように、円安や円高の影響をもろに受けやすいため
なかなか安定的な運営が難しいといわれる物流業界だが
ネット通販のamazonや楽天などが3PLを活用している状況を考えると
この業界もリバイバルされてきているといえようか。
派手さはなく、地味な業界ではあるが、追い風が吹いているだけに
ワールド・ロジの破綻は驚きをもって迎えたのだった。
今回の経営破綻は、同社のコスト管理や急激な事業拡大、会計トラブルによるもので
業界に影響はないものと思うが、露頭に迷う人が出てくるというのは、とても残念なことだ。