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海運業界総崩れのワケ

海運業界が今、危機に瀕しているのは
まぁ…ご存知の方もおられると思う。
では、どれほど危機なのかというと
実は本日、大手3社の決算が発表された。
それによると、以下の通りだ。

      営業利益        経常利益         四半期純利益
日本郵船 -255.2億円(581.5億円) -270.7億円(651.1億円) -189.1億円(443.5億円)
川崎汽船 -221.2億円(321.4億円) -227.1億円(333.3億円) -148.8億円(215.3億円)
商船三井 -122.6億円(732.1億円) -114.9億円(822.6億円) -130.1億円(553.3億円)


すべてが赤字転落。
これほど凄まじい決算書を見たのは
今年の初め以来だ。
ここで足を大きく引っ張っているのが、コンテナ船や不定期専用船事業といった
まさに海運業界の主事業だ。一方で、内航・フェリーなどは
赤字となってはいるが、大幅な減益とはなっていない。


さて、なぜここで海運業界が総崩れとなったのかというと
各社も述べているように、いくつかの理由がある。


世界的な同時不況だ。
これはすべての根源といってもいいだろう。
すべてのセグメントに対して影響を与えている。
例えば、自動車運送などは
日本郵船が半分弱、川崎汽船が6割近くの減少、商船三井では9割の減少だ。
要するに、自動車の減産が続いたし、そもそも売れないので
海外への輸出自体が大幅に減ったということ。
もちろん、不況の影響は、客船事業にも大きな痕跡を残している。


それから、運賃の低下だ。
実はタンカーの運賃というのは
原油価格だの、為替レートだのを加味して
アメリカにあるワールドスケール協会というのが算出し
それを各企業で基準運賃として計算する。
新日本石油によると計算方法は
貨物(メトリックトン)×基準運賃/メトリックトン×運賃率=運賃
となる。
で、この運賃というのが、各社で大幅に下落を続けているというのだ。
08年の夏には最高値を記録したタンカー運賃は、その後急落し
例えばVLCCの相場は中東湾岸積日本向けで、去年の8月には230(通貨不明)だったのが
今年の7月にはやっとこ50だ。つまり約5分の1になった。
特に酷いのが、アジア・欧州向けの運賃だ。
08年に2100$に迫ってから段々と下落を続け、現在では約1000$だ。
こんな安い運賃でやってられっかってのもわかる気がするが
ワールドスケールが運賃を決めていたとはね…驚きだ。


今後、やはり海運業界としては
自動車が回復してきたこともあって
若干の回復は見られるだろう。
しかし、慢性的な赤字を回避するためには
海運一本でどうにかできるようなものなのかどうか。
考えていく必要があるだろう。