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ISISがイスラム国家を「樹立」

複数のメディアが報じたところによると
現在イラクで攻勢を続けている
スンニ派武装組織イラクとシリアのイスラム国(ISIS)が
29日、イスラム国としてカリフ(首長)を元首とする
独立国家の樹立を宣言した。
さらに同組織では、すべてのイスラム教徒はカリフに従うべきであるとして
他組織に対しても従属を要求したという。
カリフに選出されたのは、ISIS指導者アブバクル・バグダディ氏で
すでに国際指名手配されている。


ISISは、イラクのマリキ政権に反発して米軍の撤退と同時期に武装蜂起
破竹の勢いで同国第二の都市モスルを制圧すると
バグダッド近郊にまで進撃したほか
ヨルダンとの国境を掌握しているという。
これに対し、イラク軍は大規模部隊を派遣
モスル奪還に向けた作戦行動を行っている。


米国はケリー国務長官が、ISISに影響力を持つとされる
サウジアラビアのアブドラ国王と会談したほか
無人飛行機なども活用。マリキ政権への支援を行っている。


さて、この「カリフ擁立」は一連の騒動で
最も本質をついた出来事であるといえる。
というのは、スンニ派シーア派が分派したそもそもの要因は
カリフの正当性に始まるからである。
スンニ派ムハンマドからアブー・バクル、ウマル、ウスマーン
正統カリフとして認め、シーア派はその後のアリー(ムハンマドの妹婿)と
その子孫こそがカリフであると認めている。


ところで、ISISは実はスンニ派の中でも最も過激とされる
ワッハーブ派に属する。これは、イスラム原理主義の最たるもので
サウジアラビアの国教としてもしられる。
また、ISISはあまりの過激さ故に、アルカイダからも破門されている
札付きの勢力なのである。
あのアルカイダすらも手を焼く組織であり、正当性は見向きもされないとはいえ
マリキ政権に一定のダメージを与えたことについては
イスラム社会に対して、影響力を与えることになるだろう。