英国離脱で「大欧州」に暗雲
EU(欧州連合)からの英国離脱を問う国民投票が23日(日本時間24日)行われ
離脱支持票が僅差で上回り、英国のEU離脱は決定的のものとなった。
キャメロン首相はこの結果を受け辞意を表明。
さらに、スコットランドでは「未来はEUの一部」として再び独立の機運が高まっている。
これにより、ポンドは暴落。円は1ドル99円台となったほか
株式市場も日経平均1000円を超える大幅下落。
安倍晋三首相は「金融市場の安定化のためあらゆる政策を総動員する」と表明した。
EUの巨人は、19世紀にとった孤立主義に大きく舵を切った。
英国はユーロを導入していない。従って、ユーロの信用リスクが
直接的に影響があるわけではない。
しかし、貿易・産業面においては大きな影響が予測されている。
また、これまでわが国の企業がEUとして行っていた英国内との企業間取引も
どうなっていくのか、未知数だ。
フランスやドイツといったEUの「屋台骨」からも離脱論が出ており
「大欧州」の先行きは明るいとは言えない。
ところで、英国が孤立主義の道を歩むことはこれが初めてではない。
19世紀、英国は米国と外交的に距離を置いていたほか
アフリカ植民地における戦争でドイツとも対立していた。
そこへカナダが「大英帝国本国が外国的に孤立していることは光栄である」と
表明したことを発端に、英国の非同盟主義を称える声が出始めた。
ロシア・ドイツが接近し英国の権益が脅かされるに至って英国は大日本帝国と同盟し
この政策は放棄されるのだが、英国はとにかく孤立が好きであった。
孤立主義といえば、米国のモンロー主義も似たようなものだが
米国も今や「世界の警察」としての役割を果たしているかどうかは懐疑的だ。
共和党のドナルド・トランプ候補は米軍撤退を示唆しており
外交的なグローバル主義は今や崩壊しつつあるといって過言ではない。
しかし、その場合経済のグローバリズムとの整合性はどうするのか。
世界は選択を迫られている。