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仙台市人口増も黄色信号。人財定着に大ナタ振るえ

この9月の終わりは、様々な統計資料が出てくる時期でもある。

公示地価やらなにやらのデータを見ていたんだけど

本日の朝刊に気になる数字が出ていた。

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9/23付河北新報。仙台圏をもってしても東京への流出は止まらない

これは人口動態である。人口には二つあって住民基本台帳人口と推計人口がある。

住民基本台帳人口は住民基本台帳から算出した人口で、正式な数え方である。

一方、推計人口は国勢調査による月ごとに増減を反映させるというもので

どちらかといえば、国勢調査をベースにする推計人口のほうが実態に近い。

宮城県は、仙台市の一強であって、東北における東京といって良い。

それが他の市町村や都道府県から批判的にみられることもあるが

一方で、都市化が進んでいる仙台市が東京への流出を止める

「ダム機能」としての役割を果たしているといえる。

上の図を見て分かる通り、2020年の仙台市宮城県内各地域から流入の勢いが

止まっていない。そして1万人近く人口も増加している。

それが消費動向や地価、雇用などにつながっているわけだが

仙台市のダム機能は黄色信号が灯っているのが現状だ。

 

「社会増」もピーク、人口減へ転落か

 

仙台市人口、27年ピーク 社会増継続で減少局面5年遅れる | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS

仙台市の人口が増加しているのは、流入が相次いでいるからというのはシンプルな

構造だが、これは外的な要因による「社会増」といい

出生数が死亡数を上回ることによる「自然増」ではない。

つまり絶対数が増えているわけではないことに注意しなければならない。

実はすでに自然増が減少局面に入って4年となっており、その厳しさは深刻だ。

実際、仙台市の中でも北部の泉区の人口は既に減少中。

平成に入ってから造成が進んだ新興住宅地の住民も高齢化が進み

さらに大企業が立地する北側の大和町大衡村、富谷市への流出が大きい。

そのため、仙台市の人口が増えても宮城県全体の人口は減少しているのだ。

そしてその社会増すら、2027年をピークに減少するとみられている。

すると、いよいよ宮城県、ひいては東北地方で「消滅」する自治体が

出てきてもおかしくはないのである。

これは日本創成会議が早くから警告していたことで行政も対策を実施していた

ところだが、残念ながら効果は薄かった。

 

東京一極集中批判の前に…課題解決に取り組め

 

東京一極集中は、もちろん防がなければならない。

しかし、そもそもなぜ東京に一極集中しているのか。

社会福祉、雇用、利便性…様々な要因があると思う。

地方自治体は、それらの課題に対して大きな手を打っただろうか。

例えば今、地域おこし協力隊制度を活用したり、中心商店街活性化事業を

実施したりして、よくやっているところもある。

だが、よくよく吟味すれば地域おこし協力隊のやっていることはイベントの手伝いや

SNSでの魅力発信といったもので、しかもごく少人数でやっているものだから

地道過ぎるのである。中心商店街活性化事業といってもアーケードの改修に

回して終わりだとか、意味あるのかそれ…というものも多い。

「予算の都合で…」というのは正直飽きた。行政だけでできないなら

民間の力を借りるなり、そもそものやり方を変えるべきだ。

もっと大きく、地域課題解決に向けて大ナタを振るう自治体が出てくれば

一つのモデルになるはずである。

要は、若者がこの地域に住み、働いて、結婚して、終の棲家にしたい

まちづくりである。例えば、住むに当たっては、多様な暮らしができ

そして商業施設が集積しているか。働くにしても、働き方改革

しっかりと機能し、収入は維持され、DXを導入して生産性が向上しているか

住民ニーズというのは、際限がないと言われるとそこまでだが

しかし実際に、市長が自ら音頭を取って常に市民一人一人と直接話し合い

課題解決に積極的に取り組んだ結果、現在人口増加中の自治体もある。

地域課題解決に取り組んでいる様子を市長が直接見せるだけでも

住民にとっては希望に映るのかもしれない。

取り組み方はそれぞれだ。しかし、地域課題に対して紋切型に

対応し、解決するにしてもポーズだけにしか見えないのでは

住民は離れていく一方だ。

武漢ウイルスにより物事の価値観や動きは

激変した。今こそ、前例にない取り組みが必要になってくる。