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農振地域制度は実情に合っているか?

先日、僕の友人がたまたま弊社ブログを取り上げているのを発見して

「一言言ってくれれば見に行ったのに…」といささか寂しく思っていた。

それは福島県福島市の中間山地に建設中の太陽光発電所をテーマに

防災への懸念や、自然環境破壊につながるのではと問題提起したもので

kick.hatenadiary.jp

 

友人は自身の町で太陽光発電を設置する際の問題点について

記述していた。文化財保護法都市計画法などである。

行政からの視点だなーと感心しながら拝読した。

つまり、開発行為をはじめとするまちづくりについては

各種法律が壁になるわけだが、おおよそ「まちづくり三法」

を覚えておけばある程度は対応できる。

すなわち

・改正都市計画法

中心市街地活性化法

・大型小売店舗立地法

の3つである。主に大型商業施設に対する立地制限を行うことで

地域の中小小売業を保護することが目的であるが

現状では、それほどの抑止力にはなっていない。

逆に地域中小企業の立地適正化の実情に合っていないという指摘もある。

立地が規制される要因としては、都市計画法上の市街化調整区域がある。

これは、改築や農業用施設を除いて新規の施設の建設はできないもの。

本来、乱開発を抑制すべく定められたのだが、開発どころか

建物を建設することができなくなってしまったという極端な例である。

 

農業振興地域の厚い壁

 

もう一つは、農業振興地域(農振)である。

これは、わが国の農業振興のために定められた規制で

農地以外の用途に使用することができないというものである。

これらの地域に建物を建設するためには、転用を申請する必要がある。

市街化調整区域については、開発許可を取得すれば良いのだが

農振の開発行為については転用か除外の申請を行う必要がある。

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農地の種類とその運用について(農水省HP)

僕が仙台市に農振地域の転用・除外について話を聞いたところ

その返答たるや、農地死守と言って過言ではないほどだった。

例えば、農振の転用・除外については

「代替の土地がないのか」「除外しても農地の集団性に影響はないか」など

かなり厳しく判断される。

特に、農振地域は10ヘクタール以上の面積を基準としていて、それを切るような除外申請は

認められることはまれといって良い。

転用にしても認められるようなことはほとんどなく

農業関係者が「農振地域の農用地では作業小屋すら作ることができない」と

嘆いていたのを聞いたことがあった。

そんなこともあり、僕は(あまりに厳しすぎではないか)と考えていた。

「農地転用」というのはよく聞くが、開発行為可能な農地であって

農振地域では実現はほぼ不可能だ。

農業の新興は当然、わが国の喫緊の課題である。

ただ農振地域については実態に即した運用の仕方が必要ではないかと思う。

スマートアグリという新しい農業も導入が始まっており、それに伴う施設は

農業用施設と認められるかどうか。

これらは農業の担い手不足軽減に寄与するはず。都市計画法そのものも

立地適正化計画や都市再生緊急整備区域など、実情に合った見直しが必要だろう。