白雉日報社公式ブログ

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厳しさ増す地域の神社、幅広く広報を

先日、僕の知り合いの神職が見事

権禰宜から宮司になられて、ご挨拶がてらお祝いに行ってきた。

僕と同級で、ノリも似ているところがあるので

結構気兼ねなく話し合ったりしているんだが

全くこの年でそれなりの神社の宮司というと、すごいことだなと感嘆する。

神社というのは、会社経営と似ているところがあって

神社で持っている資産はいくらで、人件費などの固定費はいくらで

維持していくためにはいくら必要で…といった計算が必要になるからだ。

もちろん、宗教法人だからある程度優遇されている部分はあるが

宗教活動以外の、物販や飲食などもされているから、そっちも運営が大変なのである。

 

建立数十年後、登記簿を見てビックリ

 

件の宮司さんは、現状の神社業界が非常に厳しいということを

腹を割って話してくれている。

神社には3つのパターンがある。

1、地域によくある鎮守様といわれる神社

2、多少規模があって、コミュニティーだけではなく他からも参詣者が来る神社

3、かなり大規模で、地域の氏子ではなく観光スポットのようになっている神社

1の鎮守様、これは奉賛会や氏子会、町内会などが守っているから

コミュニティーの維持という面においては

とても大事な存在である。しかし、この人口減の社会の中で

町内会すら生き残れるかどうかという瀬戸際の状態。

そんななかで神社が守れるのか…というのは深刻な問題になっている。

神社に宮司さんがいれば良いが、いない場合も多い。

1の神社は基本的に地域で作っていることが多いため

大体は宮司さんはいない。実はその弊害が現代に来ている。

僕はいくつもの神社に行き、そしていろいろな方にお話を聞いた。

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所有権手続きを忘れてとんでもないことに(画像はイメージです)

町内会で管理しているような神社は、歴史も古いのであるが

では神社の土地建物はどうしているかといえば

建立した町内会や有志で資金を出し合って共同地権者になっている。

そして不動産登記はそのままになっていて、数十年が経ち、いざ神社の登記簿を

見たら、地権者に何十人もの名前が…という場合が多いのである。

それが数十坪の敷地であるものだから、今の管理者の方たちが

神社の土地をどうにかしようって時には、法的にはどうしようも

なくなっているパターンなのである。

http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/happyoukai/R2/list5/5-3.pdf

↑はダム建設の際、神社を移転しようにも所有者不明だったケースである

 

正攻法でいくなら、一人一人の子孫に当たって、相続手続きを

してもらい、それから所有権の売買なり譲渡なりをするのが良いのであるが

所有者不存在となった場合は国庫に収容されてしまう。

そこで行政に対して裁定を願うシステムがある。

例えば、町内会が引き続き神社を管理するのであれば

別個に「〇〇神社崇敬会」などの団体を組織し、そこで神社の土地を使用したい

都道府県に申し出れば、裁定を経て土地所有権を取得することができる。

これは「所有者不明土地特措法」によるもので、令和元年に施行されたばかりの法律だ。

ただし、手続きや相続人調査がやはり専門家の力を借りざるを得ない上に

労力が尋常じゃないので、そのままになっているところが多い。

長期間を見据えた神社の管理を考えるならば、苦労は多いだろうが

所有権をはっきりと確定させて、必要とあらば宗教法人の資格を取得する

または所有権についてしっかり規約で設けるなどの措置を講ずる必要がある。

まだ宮司さんがいる場合であっても、いずれ宮司さんはいなくなる。

その場合跡継ぎがいなければ、他の神社の宮司さんが兼務する形となり

だんだんと地域との交わりは薄くなっていく。

なおさら奉賛会や氏子会などの役割は大きくなっているといえる。

とはいえ、若い方を中心に、地域の氏子になろうという人は少なく

神社管理者側も積極的に募集している気配はない。

せっかく地域の一員なのだから、「これは…」という人に

積極的に声掛けしていくことも求められているといえよう。

例えば神社の社務所でも集会所でも良いから

「奉賛会会員募集!希望者は〇〇まで」みたいな張り紙とかネットで呼びかけでもあれば

「ちょっとやってみようかな」と思う人は少ないまでもいるのではないか。

地域住民は神社に興味を持ってくれない…とはよく聞くが

そういう話を聞くたびに、どうも温度差を感じる。

閉じこもってないで広報に力を入れましょうよ!と思うのである。