なぜ?ナウルに戦艦金剛の副砲があった
2月2日、南洋の島国・ナウル共和国の公式アカウントが
ツイッターである写真を投稿した。
https://twitter.com/nauru_japan/status/1356509287036538881?s=20
「金剛の副砲です」「15.2cm副砲です」などとリプが相次いだ。
砲身に彫られている文字を見ると
確かに戦艦金剛の15.2cm副砲のようだ。
英国の場合、単位が違うので6インチになるのだが、1910年前後に
英国ヴィッカース社に発注されたのが戦艦金剛である。
だから「艦これ」の金剛のセリフは片言なのである。
戦艦は、最も威力が強いのが主砲である。
副砲はというと、もちろん対艦にも使われるのだが
主砲では対応しない小型艦や対空砲撃にも使用される。ただ、対空戦の場合
仰角が足りないので、そのために高角砲や対空機銃が用意されている。
ナウルに海軍部隊が駐留していた
では、なぜナウルに金剛の副砲があるのだろうか。
実はそれほど珍しいことではない。金剛が近代化換装した際に
副砲も変えたので、その時に取り外した副砲を設置したのか
とにかく余った大砲を陸上基地に配備することがあった。
これを「海軍砲」といい、例えばクェゼリン環礁には戦艦「三笠」装甲艦「春日」
の15.2cm副砲が設置された。副砲でも十分巨大で威力の強い沿岸砲であり
艦船に対しても大きな効果が発揮したのである。
ところで、これは「海軍砲」というとおり、使用できるのは陸軍ではなく
海軍部隊である。
ナウルになぜ金剛の副砲があるのか、という理由にもつながる。
ナウルは1942年にわが国が占領し、守備についたのが横須賀鎮守府第2特別陸戦隊
であった。特別陸戦隊とは、海軍による陸軍部隊で、米国における海兵隊と同じだ。
特別陸戦隊といえば、上海事変で実に数倍もの数で攻め寄せる国民政府軍を
激闘の末撃退したことで知られる。
つまり、海軍部隊が展開している場所は、海軍砲が設置されるのである。
もちろん、通常の陸上兵器も配備されるが、陸軍と海軍の住み分けは
このあたりにも表れる。
どこの国もあるのだが、陸軍と海軍の間の葛藤といおうか
対立とまでは言わないが、微妙な対抗が見てとれるようである。