心身のリフレッシュなら峩々温泉へ!(宿泊レポ)
以前少し書いておいた記事がある。
本当の「休暇」とは何だろう?であるが
実はリアルの友人から好評だったので詳述していきたい。
山形県の県境近くにある。遠刈田温泉を抜けてさらに山中に位置する。
仙台市中心部から車で向かうと1時間30分程度だ。
8月1日、仕事の忙しさと、党務の煩わしさから僕のストレスは頂点に達し
「もう峩々温泉に行かねーか?」と友人Aを誘った。
宮城県を歴史や風土などを再発見してもらおうという本があって
ここに峩々温泉のことが書いてあったため、一度行ってみたいと
思っていた。今が好機だと思ったのだ。
友人Aは「いいよ」とあっさりしたもので、すぐに予約を取り
友人の運転でさっそく出かけた。
日本三大胃腸の湯としても有名
この峩々温泉。変わった字を書くと思われるであろう。
大昔、地元の猟師が近くを通りかかった時、ケガを負った鹿が温泉に入って
傷を癒しているのを見たことから始まる。
蔵王のお釜にも近いため、登山客やトレッキング客に利用されてきた。
その峩々温泉に向かう前に、我々は遠刈田温泉で昼食を食べ、散策をした後に
蔵王エコーラインに合流し、峩々温泉を目指した。
途中から霧がかかり、前方の視界が全く見えないほどであった。
霧に苦労しながらも、何とか着いた峩々温泉のロッジ風の建物。
車が結構止まっていたが、登山客のものだろうか?
建物自体はとても大きく、立派なホテルほどの大きさはある。
霧のためよく見えないが、建物は3階建てで、しかも奥行きはかなり広い。
入口らしきドアを見つけてそこから入ると、オーナーだろうか
中年の男性が迎えてくれた。
靴を脱ぎ、スリッパに履き替えてロビーのようなところへ入ると
そこは既に癒しの空間だった。
リクライニングチェアや座敷、もちろん普通のテーブル席もある。
奥のほうにはハンモックもあった。
暖炉もあるし、本棚にはさまざまなジャンルの本があり、実に興味をそそられた。
まずはウエルカムということでお茶とお菓子をいただいた。
この時点で既に体の力は抜けきってしまっていたのだが
その前にチェックインの手続きと、客室に行かなければ。
客室に通されると、既に布団が敷いてあった。
定員2人だが、ここはもしかしたら1人で優雅に使うべき部屋なのかもしれない。
ポットには冷たい石清水が用意され、これが実に美味しかった。
が、ここで既に電波が圏外になっていることに気づく。
オーナーからは、「談話室以外では電波届きませんのでー」と
言われていたのだが、圏外表示を久々に見たのでちょっと驚いた。
「もしかしてデイリーミッションできねーじゃん!」と嘆く僕だったが
「じゃあ談話室に行く?」と友人Aの提案で、談話室に戻った。
先ほどのリクライニングチェアが気に入ってしまい、再度座る我々。
Wi-Fiの設定をした瞬間に次から次へと通知が来て
……無視することにした。ただいま休暇中です。
実は、18時の夕食までは「ハッピータイム」といって
すべてのドリンクが500円で楽しめる。ということで
「宮城峡」の温泉割を注文した。宮城峡といえば、ニッカウヰスキーの
宮城蒸留所で製造しているが、昨今のウイスキーブームで品薄が続いている逸品。
それに峩々温泉の温泉水で割ったものだ。
非常に飲みやすく、あまりアルコールの強さも感じない。
それでいて、ウイスキーの風味がしっかりしていて、とても飲みやすいものであった。
ひとしきり寛ぐと、友人Aが「今なら温泉混んでないだろうから行こうぜ」という。
もちろん、否やはない。さっそく向かうことにした。
が、その前に、談話室の横にはおもしろいものもある。
飲泉もできるのである。蛇口をひねると、温かいお湯が出るのだが
ガブガブ飲んではいけない。一口一口噛みしめるように飲む。
酸味と塩分が混ざったような味で…まあ飲める、という程度だが
これが後々効いてくるのである。
峩々温泉には、温泉が3つあって、一つは貸し切り露天風呂。
これは階段を上っていく必要があり、いささか手間だ。
もう一つは内湯、それから普通の露店風呂。
最初は貸し切り露天風呂に行く。お風呂の入り口には札がついていて
ひっくり返すと「使用中」にすることができる。
服を脱いで外に出ると、友人Aが叫び声をあげた。
「お、なんだなんだ」と言っていたらば
「蛇!蛇がいるよ!」という。何分日も暮れてきてよく見えない。
スマホのライトで地面を照らすも、何もいなかった。
「どこ?いないじゃん」と僕が回りを照らすも
「どっか逃げたんだよ、でもいたんだよ!」と後々まで言い続けていた。
露天風呂は工事用の簡易階段を上っていくとあり、特に洗い場などはない。
4~5人は入れるであろう湯舟と、なぜか壁際には恵比寿様と大黒天が鎮座している。
温泉の温度はちょうど良い感じで、ずっと浸かっていられるほど。
しかも自然に囲まれ、すぐそばを大きな川が流れているため
そのせせらぎを聞きながらゆったりと温泉を満喫した。
「いいなあ…こんなのないなあ」という言葉がため息と一緒に出る。
時間を忘れてしまっていて、気づいたら一時間である。
夕食の時間も近いということで、露天風呂を出て食堂に向かった。
コロナ禍で客足未だ戻らず
食堂を見て分かったのだが、宿泊客は他に2組程度。
オーナーに「やはりお客さん戻ってないですね」と聞くと
「土曜日なのにこれですよ」と嘆きの言葉が漏れた。
「でも、逆にこれでいいかもしれませんね。感染が怖いので」と
付け加えた。やはり、未だに新型コロナへの不安はぬぐえないようだった。
これに、煮物や芋煮、ご飯がつく。山の幸が盛りだくさんという感じで
満腹だった。特に僕と友人Aは芋煮を大層気に入り
お代わりまでするほどだった。
この後、談話室で食後のデザートである、ゆずシャーベットをいただき
やはりゆったりとくつろいで、それから内湯に向かった。
この時の写真はないのだが、内湯はとても熱くて入れたもんじゃなかった。
だが、正しい入り方が別にあって、直接入ってはいけないのである。
湯舟の脇にマットを敷き、そこにあおむけに寝て
体の不調があるところにお湯をかけるという寸法であった。
僕はまさに胃の調子が悪いものだから、胃にお湯をかけていたところ
しばらくすると、その部分が痛くなって、効いている感じがしたのである。
もちろん、普通に入れるお風呂もあるので、通常の入浴も楽しめる。
館内の照明はほとんどが間接照明で、木造ということもあいまって
とても暖かさを感じる雰囲気。もちろん客室に戻る時も飲泉は欠かさない。
だが、客室に戻って、スマホは使えないから読書をしていたところ
友人Aが「何かさっきから屁が止まらないんだけど」と言い出す。
実は僕もそうだった。これは飲泉のせいなのだろうかと調べてみると
効能に便秘と書いてあった。正直、ナイシトールを飲むより効果があった。
僕たちはもう一度温泉に入ると、既に消灯していた談話室のリクライニングチェアで
再びまったりし、デイリーミッションをあらかた終わらせて
意気揚々と客室に戻るのであった。もちろん、戻る前に飲泉を忘れずに。
こんな脱力の塊のような状態で、酒など飲む気持ちでもなく
周りの部屋も静かだったから、しばらく読書をしてから
「じゃあ寝るか」となって就寝した。
非常によく眠れて、寝起きもすっきりだった。
友人Aは温泉が好きなので、さっそく温泉に行こうとしていた。
貸し切り露天風呂を再び堪能したが、朝は朝で鳥のさえずりや
朝ならではの匂いなど、雰囲気がまるで違う。スッキリした雰囲気の中で
温泉を楽しむ。やはり自然に囲まれて、ちょうどいい温度の温泉は最高だ。
朝食の写真を撮っていなかったが、ボリューム満点の和食膳であった。
窓際に座り、水出しコーヒーをいただく。
外を流れる川や、山々を眺めながらいただくコーヒーは最高の贅沢だ。
そういえばと、オーナーに聞いてみた。
「ここに温泉神社はありますか?」
「ありますよー」
「歩いて行ける場所にあるんでしょうかね」
「ええ、大丈夫ですよ」
と軽い感じで言うものだから、すぐ行けるのかなと思った。
外出用のサンダルに履き替え、中庭から出ると、階段らしいものが姿を現した。
らしいもの、というのは途中崩れていたりして
雨で滑るわ、ところどころ壊れそうになっているわ、危険だったのである。
やっとの思いで階段を上る切ると、そこに神社が。
雰囲気がある神社である。温泉神社がない温泉地はまずない。
温泉というのは、いろいろなご神体として崇められてきたからである。
代表的なのは湯殿山であろう。お湯というのは、産湯にも使用する。
これは生命の誕生を表しており、しかも病気やケガにも効くとあっては
やはり神様と思うのは当然であろう。
われわれは素晴らしい体験を神様に感謝し、再び客室に戻った。
客室に戻り、さて帰ろうか…と荷造りをしていて
テレビをまったく見なかったことに気づいた。
そういえば、今何やってるんだろう…と試しに付けてみると
すぐにテレビを消した。
チェックアウトの時に
「本当に癒されました!また来たいです」と感想を言うと
大層喜んでくれた。しかも我々がしょっちゅう飲泉していたことを知っていて
「どうぞ汲んでいってください」と勧められた。遠慮なく大量に汲んだ。
ここのお宿はホスピタリティーもしっかりしていて気に入った。
心身のリフレッシュだけでなく、デトックスまですることができた。
ここから数日は心身ともに快調だったのである。
久々に当たりどころか大当たりの宿であった。
我々はこの素晴らしい体験を帰りの車内で回顧しては
「再びここに来よう」と固く誓い合ったのだった。
峩々温泉公式サイト