白雉日報社公式ブログ

日本第一党東北地方の何でも屋さん。

実際に体験した怖い話

毎日暑い日々が続いている。皆様は体調を崩されてなどいないだろうか。

納涼ということで、定番なのが怪談であろう。

実は僕はホラーが好きで、映画では断トツで好きだったりする。

特に好きなのが、スティーブン・キングジェームズ・ワン

キングでいえば「シャイニング」「IT」といった有名どころ

ジェームズ・ワンでいえば「死霊館」シリーズがとても好きだ。

ナイト・シャマランのように、自然現象だったり、奇妙な風習がベースに

なっている作品もおもしろい。

リアルでは経験したくはないが、見ている分には本当に大好きな分野である。

 

東北で屈指の心霊スポット「滝不動

 

リアルといえば、僕も若かりしころは心霊スポットによく行った。

自殺者が絶えないことで知られる八木山橋青葉区)にも行った。

山形県上山市にある「滝不動」は非常に怖かった覚えがある。

今回はその話を書いていこう。

この滝不動、読んで字のごとく山の中に滝があって、その滝に不動明王の像が

打たれているように鎮座しているのだが、不動明王の像が手にしている剣を

触ると呪われるという話があった。それにまつわる話はいくつもあって

曰く「母親が背負っていた我が子の首を誤って鎌で狩ってしまった」

曰く「滝に入水する人が後を絶たず、特に若い女性の幽霊が目撃される」

といった具合である。

それで地元に住んでいる友人にその話をすると

そいつはとても嫌な顔をしながら「絶対に行くな!」と止められたものである。

大学生時代、若さ溢れる僕は、大学で仲の良かった友人と、ネットで参加者を募り

結局3人でその滝不動に向かったのである。

時刻は午前4時前であったろうか。かみのやま温泉駅で待ち合わせて

もう一人の参加者(仮にAさんとしておこう)の方の車に乗り込んだ。

友人が助手席、僕が後部座席である。

不思議なことに、Aさんはなぜかアイスコーヒーの素を持ってきていた。

Aさんは滝不動のことを知っていたが、心霊スポットであると同時に

おいしい湧き水のスポットでもあることをネットで見つけて

どうせならアイスコーヒーを楽しむ会にしようと、「名目」を見つけていた。

 

狭く、街灯一本ない闇の道

 

滝不動は温泉で有名な上山市にあるが、温泉街から離れた山の中にある。

広い道路から一本山道に入ると、そこは街灯一本すらない真っ暗な道である。

しかもその道というのが、車一台通るのがやっとという状態で

車のライトを頼りに進むしかない。

対向車が来たらどうやって行き交うのだろうと不安になったものである。

ただ、きちんと舗装されている道路で、普段は利用されているのであるが

それは後述する。

狭くて暗い道をひたすら進んでいく。およそ20分ほど走ったあたりで

滝不動」と書かれた木製の看板がある。広いスペースがあり、そこに車を止めた。

看板のあるところはちょっとした崖のようになっていて

そこから石段で降りていく。途中には祠があったりして霊場の雰囲気が出ていた。

滝があるということは当然のことながら川もあるわけで、その水音がとても大きかった。

ただ、真っ暗なのでいまいち距離感が掴めなかった。明かりなどないのはわかっていたので

全員がライトを持ってきていたが、それも実に心細いほどであった。

石段自体はそれほど長くはなく、50段もなかったように記憶している。

石段を下り切ると、すぐそばに滝があるのが見えて

そのあたりを照らすと、話のとおり不動明王の像が滝行しているかのように

滝の壁に鎮座していた。目を引いたのが不動明王が持っていた剣である。

像は石像だったが、剣は銅製でかなり錆びていた。

しかも、滝壺をよく見ると何本もの錆びた剣が水底に沈んでいる。

これに触ると呪われるのか…と背筋が寒くなる思いがした時

Aさんが「じゃあコーヒーを飲みましょう」と紙コップを一人一人に

手渡し、アイスコーヒーの素を少し注いだ。

滝から落ちてくる水をコップで受け止めたのだが、思い返すと

手が届くほど滝が小さかったっけ?と疑問だったりする。

コーヒー自体はぶっちゃけ普通だった。

そんな時、友人のライトが突然消えた。「あれ、電池まだあるはずなのにな」

と訝しがる友人。「うーん、じゃあ暗いし、そろそろ帰りますか」と

帰ることにしたが、この時点で闇が迫ってくるような感覚に捕らわれ

足早に車に戻った。

 

不可思議な現象が襲った

 

 

じゃあ帰ろうと、Aさんは車を発進させたが、前述のように道が狭すぎて

転回ができないため、そのまま道を進むしかない。

地図では、そのまま進めば大きい道路に出られるはずだった。

しかし、少し走ったところで、僕は恐ろしい施設を見つけた。そこには

「〇〇斎場」と書かれていた。つまり斎場があるために道路が舗装されていたのである。

斎場を通り過ぎてすぐのところに、一際大きな「闇」が姿を現した。

そう、トンネルである。長さは200メートルといったところだったが

僕は、とても嫌な気配を感じていた。すぐ後ろにぴったりと「何か」が

くっついているような気配である。後ろを確認すれば済む。

闇だけが広がる、何もいないに決まっている。

だが、僕の本能が後ろを見てはだめだと必死に告げていた。

Aさんが突然「うーん、何か腕が痛いんですよね」と言い出した。

助手席の友人が「え、Aさんもですか?俺もなんすよね」と応じた。

何てことを言い出すんだこいつらは!と思った僕はしかし

腕に違和感を感じていた。それを口に出すことはなかったが。

とはいえ、トンネルを抜けないと帰れない。Aさんの運転する車は

トンネルの中に入った。

Aさんが「そういえば、ここで止まってクラクション鳴らすと何かありそうですよね」

と突然停車させた。すかさずクラクションを一回鳴らす。

…何も起きない。

僕はそれどころじゃなく、さっきから感じている背後の気配が段々強くなっているのを

感じて、「何もないですよ、もう帰りましょうよ」と促した。

拍子抜けした様子で、Aさんは車を発進させた。トンネルを抜けると

相変わらず道は狭くて暗かったが、背後の気配は一気に感じなくなった。

さらに数分走らせると、Aさんが「あれ?腕が痛くなくなった」といい

友人は「そういや楽になりましたね」と話していた。

僕の腕の違和感も大分楽になっていた。

すぐに道路は大きい県道にぶち当たった。ここまで来れば安心だ。

そこから待ち合わせ場所まで戻り解散となった。

自宅に戻ってから、参加者を募集したネット掲示板

「ただいま帰宅しました。お疲れ様でした。コーヒーおいしかったです」と書き

そのまま眠ってしまった。

次の日、友人は学校を休んだ。メールで聞いたところ

「すげえ熱が出た」とのことであった。

Aさんは無事に帰れて彼は社会人だったから普通に仕事に出たそうだが

その日の夕方であったろうか、「菊地さん、ネットに何かおかしい書き込みがあったんですよ」

とメールが来た。僕が帰宅した後「コーヒーおいしかった」と書いた掲示板である。

「何の書き込みですか?」僕は聞いた。

「確か僕ら、3人でしたよね」Aさんは当たり前のことを言った。

何でこんなことを言うんだ?訝しがりながらも掲示板を見る。

僕の「コーヒーおいしかったです」の書き込みの後

友人であろう「お疲れ様でした」との書き込み

その後、お住まいがわれわれより遠いAさんが「お疲れ様でした」と書き込んでいた。

しかしその一時間後にもう一つ匿名で「お疲れ様でした」と書き込みがあった。

誰かが二回投稿したのでは?と思ったが時間が離れすぎている。

「一体誰なんでしょう」とAさんは不安げだった。

友人の体調が戻ってから、このことを友人に聞いたが

大層驚いていた。そしてしばらく、心霊スポットに近づくことすら

拒否するほど、懲りていた。それは僕も同じだった。

それから間もなく、Aさんは体調を崩して仕事を辞めた。

Aさんとはそれからも何回か絡むことはあったが

決して心霊スポットの話はしなくなった。思い出したくなかったのだ。

僕はといえば、一人だけ無事…

ということはなく、少し経ってから交通事故に遭い、ケガはなかったものの

車を廃車にせざるを得なくなってしまった。

それから数年経って、新しい説が心霊雑誌に紹介されていた。

滝不動で最も危ないのは、実はその上にあるトンネルだ。なぜなら斎場があり

トンネルに死者の魂が集まってくるからだ」

もっと早く言ってほしいと心から思った。

以後、現在に至るまでホラー映画やテレビ番組は見るけれども

実際に行くことはなくなった。実際に何かを見たわけではない。

しかしあの恐ろしい気配と、立て続けに起こった腕の痛み

そして全員が災難に見舞われたことなどの不気味さ、恐ろしさは

経験した者でないとわからない。

やはり自分が体験するより、作り物を見ていたほうが楽しめる。

皆さんも心霊スポットで変なものを連れて帰ったり

「あてられて」体に不調をきたしたりすることのないよう

面白半分で行くことは厳に慎んでいただきたい。

もちろん、法律に抵触する場合もある。余計なトラブルも起こるかもしれない。

まさに「触らぬ神に祟りなし」である。