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さくら野百貨店仙台店自己破産、駅前が空白地帯に

さくら野百貨店」などを運営する株式会社エマルシェ(青葉区、安藤俊社長)が27日
仙台地裁に自己破産を申請し、経営破たんした。負債総額約31億円。
同社は、昭和21年「丸光合名会社」として仙台駅前に創業。
昭和28年、丸光デパートとして営業を開始。
屋上には観覧車とレジャー施設が設けられ、仙台駅の目の前という好立地で
大きく売り上げを伸ばした。最盛期の昭和61年には約909億円もの売上高を誇り
「仙台の顔」として地元住民を中心に広く親しまれた。
しかし、同業他社や親会社「マイカル」の倒産などにより昭和62年には債務超過に転落
「ビブレ」、「ダックシティビブレ」など次々と施設の名称も変化し
企業も、丸光からエマルシェへと変わった。
東日本大震災後は、売り上げ減少に歯止めがかからず
売上高も80億円を切り、慢性的に赤字が続いていた。

地価は仙台でもトップクラス。右奥は仙台駅


一方、百貨店事業を縮小し、テナント事業にシフト。
ブックオフ石井スポーツ、H&Mなどの大型入居が相次ぎ
経営再生にも光明が見えてきた矢先の措置であった。


報道などを見ていると、さも突然の措置であったかのように書かれている。
確かに今日明日破たんするとは思わなかっただろう。
だが、少しでも仙台の商業に通じていれば、同社がいかに経営難に苦しんでいたか
わからない人はいない。
「そこに行けば何でもそろう」といわれた百貨店というビジネスが
すでに斜陽を迎えている証左ともいえる。
とはいえ、仙台駅前の一等地、それも商業地でいえば仙台市内でトップの土地である。
そこが空白地帯になることは、行政としても地元商業界としても黙視できないであろう。
何らかの手を打つことが大事だが、すでに駅前にはパルコ、エスパルなどが競合し
中心部でも藤崎(2016年度売り上げ約431億円)と仙台三越(同約353億円)がしのぎをけずる*1
そんな中に喜んで飛び込む企業があれば、すさまじい覚悟といえる。
もっとも仙台の同業他社は、自社を保つことだけで精一杯の状況だ。
「次にギブアップするところは決まっている」とも囁かれる。
大型商業店に依存し、何も変わってこなかった結果が今回の措置につながったといえる。

*1:売上高は各社公表データより