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困難を乗り越える!映画「オデッセイ」の名言

火星に取り残された宇宙飛行士マーク・ワトニー(マット・デイモン)が
次回の救出船が来るまで生き残りを図る映画「オデッセイ」。
本作品では、ムードメーカーでアイデアマンでもあるマークが
いろいろな示唆に富んだ言葉を残している。
今回は、これらの言葉を紹介しよう。




「オデッセイ」予告編はこちら





○僕は生きている。どう見てもね
でも、驚くだろうなクルーやNASAや全世界は
だから一言…
驚いた?


(I'm alive. Obviously.
But I'm guessing that's gonna come as a surprise to my crewmates and to NASA.
And to the entire world, really, so...Surprise.)


解説:嵐の中、吹っ飛ばされて宇宙服も損傷し、信号すらなかったマークは生きていた。
とりあえず、ハブ(居住棟)に避難し、傷の手当をして一息ついた後
もしもの時に備えてビデオログを残すことに。
最初の言葉がこちら。




○だから3年分の食用植物を育てなきゃね、この不毛な惑星で
幸い、僕は植物学者。火星よ、わが植物学の力を恐れるが良い


(So I got to figure out a way to grow three years'worth of food here.
On a planet where nothing grows.Luckily I'm botanist.
Mars will come to fear my botany powers.)


解説:次の火星探査船「アレス4」が来るのはあと4年後。それまで残された食料はおよそ1年分。
地球と交信する方法も見つからず、このままでは死を待つのみ。
だがマークは諦めなかった。ハブの内部に畑をつくり、感謝祭用にとっておいたイモを種にして栽培し
増やそうと思いついたのだ。実はこれを思いついたのは、トイレの最中であった。




○そうとも、吹っ飛んだよ


(So yeah, I blew myself up.)


解説:畑には水分が必要。そこで考えたのは、水素を発生させることだった。
   しかし、燃焼によって水素を発生させようとしたところ、あえなく爆発。
   自らも吹っ飛び、煤まみれの状態で述懐したのがこちら。
   自虐的でいながら、その後なぜ失敗したのかを分析している点はさすがである。




◯工科大で5人の学生が燃料の開発中に寮を燃やしかけた
でも彼らは退学にされず、開発を続けるよう言われ
今の宇宙計画がある


(Five guys at Caltech were trying to make rocket fuel and they nearly burned down their dorm.
And rather than expel them...
they banished them to a nearby farm, told them to keep working. And now we have a space program.)


解説:ものの見事に吹っ飛んだマーク。
   JPL(ジェット推進研究所)設立につながった事例をひも解き
   自らの失敗から学ぼうとしている。
   「失敗は成功の母」という言葉を端的に表している言葉といえよう。
   「Caltech」はカリフォルニア工科大学の略称。寮を燃やしかけたのはフランク・マリナら5人の学生のこと。
   





◯この絶望的な状況で残された道はただ一つ、科学を武器に乗り越える


(So, In the face of overwhelming odds, I'm left with only one option.
I'm gonna have to science the shit out of this.)


解説:何とか当面の生存方法を見つけたが、次回の救助船が来るまでには3000km以上も移動しなければならないことが判明。
   そこで決意した言葉。「overwhelming odds」とは「圧倒的なオッズ」という意味。




◯「全て順調」と言うところだった


(I almost just said "Everything will be fine"out loud)


解説:プルトニウムを動力源として確保したマークはとある重要問題に直面する。それは意外にも船長の音楽趣味であった!




◯火星産完全有機栽培のイモだ。これは貴重だよ


(All natural, organic, Martian-grown potatoes. You don't hear that every day, do you?)


解説:ハブ内に植えたジャガイモがついに収穫を迎えた。マークもうれしそうに一言。
   You don't hear that every day, do you?は直訳すると
   「あなたは毎日聞いたことないでしょう?」となる。逆説的に「貴重だよね」という意味になる。





◯ヨハンセン、君って寂しい女なんだな


(Seriously, Johanssen...It's like the Smithsonian of loneliness on there.)


解説:地球との交信に16進法を思いついたマーク。ヨハンセンの荷物からASKIIコード表どころか
   ギーク2やマザーゴッデスといった懐かしいゲームも発見して、彼女の超オタクぶりを実感させられる。
   ちなみに超オタクのことを英語では「Super nerd」という。




○カプーア:マーク、言葉に気を付けてくれ。君の文字はすべて世界に生中継されてるんだ
マーク:そうかい?(下品な言葉を打ちまくる)
カプーア:なんてこった


(Everything you type is being broadcast live all over the world. year. oh my god. )


解説:地球との交信に成功したマーク。チャット形式でNASAと交信を続けることに。
地球に向かっているアルス3の乗員にマークの生存を知らせていないことを知った
マークは大激怒。放送禁止用語を打った際のやり取り。




○偉そうにする気はないけど、僕はこの惑星一番の植物学者だぞ


(Look, I don't mean to sound arrogant or anything but, I am the greatest botanist on this planet so...)


解説:機材のアップデートや作物の育て方などNASAからいろいろと指示をされるように。
マークはそのことにぶつくさ言いながらもまんざらでもなさそうだ。



○植物を育てたらそこは植民地になるらしい。だから僕は火星を植民地化したことになる
見たか、アームストロング


(They say that once you grow crops somewhere...you've officially colonized it.
So, technically...I colonized Mars. In your face, Neil Armstrong.)


解説:地球との交信ができるようになったため、大量の電子メールが届くようになる。
   その中で母校のシカゴ大学から送られてきたメールが傑作だとして植民地のくだりを紹介している。
   アームストロングとは言うまでもなく、月面に初めて降り立ったニール・アームストロング船長である。




○高校の卒業アルバム風にするかな、それとも小悪魔少女風?どちらにしても宇宙服着るからな


(I'm trying to figure out whether I should go with "High School Senior"or
"coquettish ingenue." But I'm not really sure how that's gonna look with
my spacesuit on.)


解説:火星探査機「パスファインダー」を使って画像を送れるため、地球に送る写真を撮影することに。
   結局おどけたようなポーズになったようだ。




○マルティネス:置いてけぼりにしてすまない。でも君が嫌いでね
それに君がいない分ヘルメスが広く使える


(Sorry we left you behind on Mars. But we just don't like you.
Also, it's a lot roomier on the Hermes without you )


解説:空気漏れが原因でハブが大爆発。作物も全部死んでしまった。
   マークは悲嘆に暮れるが、初めてアレス3のクルーたちとメールができ
   その中でマルティネスがマークに送った文章。
   仲間たちからのメールを読んで、マークは再び生きる気力を持つのであった。




○火星は最高だ。トラブルがあってハブは吹っ飛んだが、残念なことにルイス船長のディスコ曲は無事だ


(Mars is fine. I accidentally blew up the Hab...but unfortunately, all of Commander Lewis'disco music still survived.)



解説:マルティネスに「火星はどう?」と聞かれて返事した文章。ルイス船長の音楽に文句をつけながらも
   実はずっと聞いていたマークであった。




○毎日、外に出て地平線を見ている。そこにいると、「見える」から


(Every day, I go outside and look at the vest horizons.
 Just because I can.)


解説:これまたマークが仲間たちに送った文章。ハブが使えなくなったので一時的にローバーに避難。
   地平線の向こうには何が見えるのだろうか。





○要するに食料を4日分伸ばすっていうのは、キツイってこと


(The point is stretch the rations four more days is a real dick-punch.)


解説:ハブには大きな穴が空いていたが、布で覆い、テープで補強して何とか住めるようになった。
   しかし、作物は栽培できないので、食事を切り詰めるしかなくなってしまった。
   dick-punchとは、「キツい一撃」のような意味のようだ。




○こう伝えて。僕はこの仕事が好きだし、天職だと思っている。僕が死ぬのは、大切なことのため
崇高で、偉大なもののため、喜んで命を捧げると
それから、僕の両親でいてくれてありがとう


(Please Tell them I love what I do and I'm really good at it.
And that I'm dying for something big and beautiful and greater than me.
Tell them I said I can live with out.
thank you for being my mom and dad.)


解説:いろいろとトラブルが続き、初めて弱音が出たマーク。
   「まだ諦めてはいませんが、想定外のことに備えないと」と前置きしたうえで
   ルイス船長に両親への伝言を依頼する。




○フォーゲル:合計900日以上宇宙にいることになる。人生でそれだけ宇宙にいられれば十分。イエス


(If we do this, it'll be over 900days of space.
That's more than enough space for life so, yes.)


解説:ヘルメスが火星に戻り、マークを救出する方法があると知ったアレス3のクルーたち。
   任務が500日以上伸びる上、失敗すれば全員の命はない。しかもNASAはこの方法を許可しないので
   あえて強行すれば
   二度と宇宙には飛べなくなるだろうというリスクの中、フォーゲルはこう述べて賛成する。
   結局、全員が躊躇なくマーク救出に賛同する。




○幸い僕には地球の偉大な頭脳がついてる
全世界の頭のいい人たちが僕を助けてくれる
その結果がローバーの屋根に穴を開け、石で叩けってさ
必ず行ける


(And luckily, I have the greatest minds on planet Earth
really, all of the brainpower on the entire planet
helping me with this endeavor.
And so far they've come up with "Hey, why don't you drill holes
on the roof of your Rover and hit it as hard as you can with a rock?"
we're gonna get there.)


解説:ヘルメスに回収してもらうためには、アレス4の着陸船を打ち上げる必要があり
   その場所まで行かなくてはならない。地球の英知を結集したわりに原始的だなおい!
   そんなツッコミを待ってそうな述懐。




○火星の法律を考えてた
地球外の物に権利は主張できないが
どの国にも属さない場所には海事法が適用される
つまり火星は国際水域だ
NASAは米国の組織でハブを所有する
だがその外は国際水域。これっておもしろい


(I've been thinking about laws on Mars.
There's an international treaty saying no country can lay claim
to anything that's not on Earth. And by another treaty, if you're
not in any country's territory maritime law applies.
so Mars is international waters.
Now, NASA is an American non-military organization. It owns the Hab.
But the second I walk outside, I'm in international waters.
So here's the cool part.)


解説:正しくは宇宙条約が前提としてあるわけだが、この条約でも国家による惑星の所有は禁じられている。
   non-military organizationは、実は惑星の軍事利用が禁止されているという部分に着目したもの。
   



○これって海賊になるってことだ
マーク・ワトニー 宇宙海賊


(Which, by definition, makes me a pirate.
Mark Watney, Space pirate.)


解説:アレス4は国際水域にある船だから、それに無断で乗り込むことは海賊になると結論づけている。
   つまり自分で「海賊王に俺はなる!」と言っているわけだ。
   宇宙海賊という響きは大層気に入ったらしく、この後も呟いたり
   ヒューストンに自分のことを「金髭船長と呼べ」と要求したりしている。




○どこへ行っても僕が一番乗り。変な気分だ


(Everywhere I go, I'm the first. It's strange feeling.)


解説:前人未到の地だからこそ、そこで何をしても初めてということになる。
  ここの部分には「火星で一人ぼっちになるのも初」と寂しそうに話す。
  これまで「クールだ」と喜んでいた時とは対照的だ。




○わかってるさ、NASAの考えは。史上一番速く飛ぶ男になれると言っている
それで僕の気を逸らす気なんだ
僕は史上最速の男になる


(I know exactly what they're doing.
They just keep repeating "Go faster than any man in the history
of space travel." Like that's a good thing.
Like it'll distract me from how insane their plan is.
Year, I get to go faster than any man in the history of space travel.)


解説:着陸船をできるだけ速く飛ばす必要があり、そのためには生命維持装置から操縦機械から外すように言われ
   マークもさすがに「冗談でしょ?」と呆れかえる。
   しかし「史上最速」という誘惑には勝てなかったらしく、装備を全部外すことに。
   「悪くない。けど黙っとく」。




○さよなら火星。このローバーを大切に、命の恩人だ


(Good bye Mars. To when it may carrier, Take care of this Rover. she saved my life.)


解説:いよいよ打ち上げという時、ローバーに置き残したメモ。
   何かとマークの側にいて、手となり足となり活躍したローバーに
   感傷的になったようだ。
   なお、乗り物に「she」とつけているが、日本でも処女航海といったり
   姉妹艦といったり、乗り物を女性にたとえる風習がある。これは全世界共通だ。




○では、上で


(I'll see you in a few, commander.)


解説:離陸の際、ヘルメスと音声による交信に成功。感極まってマークも涙ぐむ。
   その際のルイス船長とのやりとり。
   




○でも飛んでいくんですよ、アイアンマンみたいに。


(But consider this. I'd get to fly around like Iron Man.)


解説:離陸はうまくいったが、コースがずれてしまい、ヘルメスとマークの位置が離れすぎていることが問題に。
   そこでマークは、宇宙服に穴を開けて推進力でヘルメスに近づこうとするのだが
   危険が大きすぎた。こんな時でもユーモアを忘れないマインドは見習いたいものだ。




○あなたの音楽の趣味は最低ですね


(You have terrible taste in music.)


解説:ルイス船長が自ら船外に出てマークを救出する。初めての会話がこちら。
   最後までマークはルイス船長の音楽をボロクソに言い続けていたが
   なんだかんだで聞き続けていたのも事実である。




○最初に言っておく、確かに僕は自分の糞で作物を作り生き抜いた


(Let me get a few things out of the way, right off the bat.
Yes, I did in fact survive on a deserted planet by farming in my own shit.)


解説:地球に戻ったマークは、NASAの飛行士訓練プログラムの講師を務めていた。
   ユーモアセンスで場を和やかにするのは、さすがはムードメーカーといったところ。
   




○相手は宇宙だ。協力的じゃない。ある時点で人を見放す
君は言う「もう終わりだ、僕は死ぬ」と
それを受け入れるのか、戦うのか。そこが肝心だ


(This is space. It does not cooperate.
At some point, everything is going to go south on you.
Everything is going to go south and you're going to say,
"This is it. This is how I end."
Now, you can either accept that or you can get to work.
That's all it is.)


解説:この言葉が本作品を物語っているだろう。マーク自身、死を覚悟しながら
   その恐怖と戦ったのである。  
   「戦う」が「fight」ではなく「work」になっているところもメッセージ性を読み取ることができる。
   





○まず始めるんだ。問題を1つ解決したら次の問題に取り組む
 そうして解決していけば帰れる


(You just begin. You do the math. You solve one problem then you solve the next one.
And then next. And if you solve enough problems, you get to come home.)


解説:自棄にならずに、問題は何だろうかそれを解決するために何をすべきかを考え、実行する。
   マークは実際そうやって生き抜いてきた。一つ一つ解決していけば
   大きな問題もそれほど大きくは見えなくなるのではないだろうか。




さて、本作品は原作があるので文学的なつくりとなっている。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

しかし、マット・デイモンのコミカルな演技と
細やかな演出はリドリー・スコット監督ならではといったところ。
本来なら、こういう状況に置かれた場合、普通ならすぐに諦めてしまうとか
発狂してしまうとかありそうだが、「ダッシュ村の火星版」といわれるほど
ポジティブに見られたのは、マークのビデオログに見る言葉の数々もあるのだろう。
ぜひ多くの方に本作品をご覧いただき、そのメッセージを受け取ってほしい。