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鹿島臨海鉄道は黒字維持も、課題山積

鹿島臨海鉄道株式会社(茨城県大洗町)が平成26年度決算を発表した。
決算書類によると、当期は営業収入はおよそ11億4700万円となっており
前期比約2800万円の減少で、2888万円の営業損失となった。
ただ、営業外収益が思いのほか上がったこともあり当期純利益は1778万円と
前期と同じく黒字化を達成。ただし、これもまた前期比およそ200万円の減少となった。
注目したいのは、営業収入の内訳である。
旅客収入は6億1547万円と、前期比2000万円ほどの減少となったが
付帯事業収入は1億3600万円ほどになっている。前期比と比べると減少しているが
平成21年度決算では1億1300万円ほどに過ぎないから
付帯事業収入が成長し、営業収入の柱の一つとなっているのが現状だ。
では、付帯事業収入とは何かといえば、主に物販収入である。


大洗町を舞台にしたアニメ「ガールズ&パンツァー」が放送を開始したのは
平成24年10月。実はその平成24年度決算から付帯事業収入は1億2300万円に増加し
25年度では1億5300万円にまで増加したのだ。ちょうどガルパン聖地巡礼
多くの媒体で取り上げられ、多くのファンが訪れていた年である。
そこで同社ではガルパングッズとしてキーホルダーや手ぬぐい
果ては吊り革なども開発し、大洗駅売店にて発売している。
すべての収入がガルパン関係によるものとはいえないが
臨海鉄道の収益向上に大きく寄与したのは間違いない。





ラッピング電車やインフォメーションコーナーで多くの人が訪れるが…


もちろん、課題はその赤字体質である。
今のところ、黒字化を達成できている同社だが
本業の旅客収入は、平成20年度のおよそ7億円から減少傾向が続き
平成26年度は6億1500万円ほどにまで減少してしまった。
ローカル線にありがちな体質ではあるが、やはり収益の大部分を占めるのは
毎日乗り降りする通勤・通学客であり、水戸周辺の人口空洞化の影響をもろに
受けているといえるだろう。
さらに、原発事故に伴う風評被害も重なり大洗サンビーチおよび大洗海水浴場の入込数も
震災前と比べておよそ半数といったところである。
一方、例年約2万人の入込数だったあんこう祭(11月)では、ガルパン関係のイベントや物販などにより
ファンが詰めかけ、昨年は何と10万人の入込数を記録。風評被害で大幅に減少した海水浴客は
ガルパンファンが補完して余りあるほどであるが
ガルパンはすでに本編が終了して2年以上が経ち、今や劇場版の公開を残すのみとなっており
動員数のピークを過ぎた感は否めない。
東茨城の大動脈として、持続可能な運営を行うためには、メーンターゲットのニーズに合わせた
フレキシブルなサービスの展開が必要なのではないだろうか。