文化財保護、完璧にはほど遠い
さて、今日は昭和28年(1953)に比叡山根本中堂が
国宝に指定された日だ。
なぜそれを話題にしたかといえば、文化財保護のあり方に
疑問があるからである。
例えば、僕は震災後に福島県内の神社にお邪魔して
こんな話を聞いたことがある。そこは、福島県の文化財指定を
受けたところなのだが、実は国指定史跡と違い
自治体指定の文化財には、補助金が出ることがほとんどない。
実際は「文化財保護条例」を制定し、その中で補助金を定めている
ところがあるのだが、あくまで「維持が高額で所有者がその負担に耐えない場合」
としている。もちろん、小さい町などではその費用を捻出することも
極めて困難なケースもある。
従って、震災で被災しながら修復ができず、文化財指定を
取り消したものが多いのである。
一方、国指定の文化財の場合、文化庁から予算がつくため
比較的迅速に修復ができた。
とはいえ、文化庁の平成26年度予算では「文化財の復元整備・活用・継承等
の推進」およそ320億円。そのうちハード面は200億円程度である。
国指定史跡は2013年4月現在、1709カ所に上っており
今回の震災のような大規模災害が起こった場合、予算はどうするのか
という危惧もされる。それほど、文化に対する予算の優先度は低いのである。
ましてや、自治体の文化財保護は推して知るべし、であろう。
福島県の神社の宮司さんは、「勝手に修復もできないし、修復するにしても
行政から補助金も出ないんだから、文化財に指定する意味を考えてしまう」
とこぼしていた。まったくそのとおりである。
文化財保護は、多元的にではなく、ある程度統一した形で
補助金を出すだけでなく、マネジメントも行う方法も
大切だと思うのだが、どうだろうか。