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リンカーンを見た。おもしろくない!

さて本日、お休みをいただいたこともあり
リンカーン」見てきた。スタート前にスティーブン・スピルバーグ監督の
物語の背景の説明もあり、おっと思わせる滑り出しだ。
作品は、今ままで散々出てきた伝記的なものに過ぎない。
テーマとして奴隷制度はすでに奴隷解放宣言によって口実としてはあるけれども
それを憲法を改正して明記するかどうかという状態。
ただし南北戦争は4年目に入り、大きな犠牲を出しつつ、何とか南軍相手に優勢に進めていた時期だ。
憲法を改正して無条件に黒人を解放すべきという共和党急進派や
ちょっと待てという保守派、とりあえず何でも反対だが一枚岩ではない民主党
それらを相手に、リンカーン憲法を改正し名実共に黒人は自由を得ることができるのか。
以下、ネタバレになるので注意してほしい。



特に目新しい演出もないし、リンカーンマンセー映画だ。
米国で今一番人気の政治家はリンカーンであり
物語もそういう流れになるが、それは奴隷制に馴染みのない日本人にとっては
特に心を打つようなものではない。
極めて偽善的で、スピルバーグ作品らしからぬ動きのない流れだ。
ほとんどの焦点は連邦議会下院に当てられているため、戦争シーンなどはなく
実に淡々と進んでいく。だから、おもしれえ!というものではない。
つまりどういうことかというと。
僕にとっては名作だったということだ。
まず、今まで連邦議会の存在はあまり注目されていなかった。
ハリウッド映画では、大統領がサインをすれば何でもできると思っている節がある。
だが、議会を構成する議員すべてに思惑や立場があり、時には苦悩する様も見事にスポットを当てている。
さらに、リンカーンも時にはズルをするということも描いている。
親としてのリンカーン、夫としてのリンカーンも描いている。
ダニエル・デイ=ルイスが凄く似ていたぞ。
そして、われわれにはBOSSのCMで目にしていた
トミー・リー・ジョーンズ共和党急進派のサディウス・スティーブンスを演じていたことだ。
スティーブンスは奴隷廃止闘争を長いこと続けており、南北戦争のため多くの金融法制度を改正した。
地元ペンシルバニアでは公共教育の父とも言われ、その名声は高い。
作中では敵のように扱われる民主党だが、ジョージ・イェーマンや
ジョージ・ペンドルトンなど、米国では有名な政治家も十分描かれている。
ちなみにイェーマンはデンマーク特命全権大使などを務めたほか
ペンドルトンは、国家公務員を成績主義で採用する現在の国家公務員即ち官僚主義の原型といわれる
ペンドルトン法を成立させたことで有名である。
この映画は、そういう人々の声も拾い上げつつ、リンカーンの示唆に富む逸話なども描いている。
おもしろくはない。だが、興味深い作品であったという点で僕は評価したい。
そういうこともあって良いのではないかね。