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日本武士とは…池辺義象による解説

1904年に郁文社より発行せられたる軍事画報第三号の見開きに
国文学者の池辺義象氏による『日本武士』と題するはしがきが載せられていた。
これは大変良い言葉なので、ぜひ以下に掲載したい。
(旧字のため常用字に直している。カッコに記す)


清きこと名月の如く、輝くこと名剣(劔)の如きものは日本武士の精神なり。
其の忠勇なる、其の剛毅なる、其の濶達なる、其の清廉なる、これ日本武士の本色なり。
この尊敬すべき武士道は何に因て養成せられしか。
物は必ず形影相伴ふ、陰陽相対(對)し、春秋相対(對)し、夏冬相対(對)す。
この忠勇なる、この剛毅なる、この濶達なる、この清廉なる、而して
その精神の名月の清きが如く、名剣(劔)の輝くが如き半面には、
如何なるものか相対(對)せる。
鬼将軍と呼ばれ、鬼武者と字せらる〃ものは、た〃豪胆(膽)勇猛のみなるか。
否々いかでか然らむ。忠勇なる日本武士は風流なり、剛毅なる日本武士は優雅なり、
濶達なる日本武士は多情なり、清廉なる日本武士は多感なり。
この掬すべき風流優雅多情多感なるを日本武士の半面とす。
近く征露の役、この武士道とその半面とを発揮せるものの枚挙に暇(遑)あらず。
而してこれを絵画(繪畫)と文章とのみならず、彫刻に写真(寫眞)に製版に経営惨憺
よく彼の本色と半面とを挙げて、之を誌上に躍如たらしむるものは
それ此の軍事画(畫)報にあらずや。


明治三十七年六月十五日
池辺義象




年代から察せられる通り、日露戦争に従軍した絵師による作品や
従軍日記、写真も多く掲載されていて、これまた大変貴重なものなので
そのうち書いてみようかな。