白雉日報社公式ブログ

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「THE WAVE」なんだけど

「THE WAVE」という映画がある。
これはとある高校の実習で「独裁とは何か」を学ぶために
クラスで「先生には様をつけること」「必ず起立して発言すること」
「団結すること」「白いシャツを身に着けること」などを定めて
一週間授業を行うことにした。最初は「独裁なんてありえねえww」
と笑っていた学生もいたが、日を追うに連れ異常な雰囲気が
クラスを包み始める…
というもの。これと似たような実験をスタンフォード大学
やったことがある。スタンフォードでやったのは、被験者が
囚人役と看守役に分かれて、一ヶ月くらい擬似的に牢獄生活を
送らせるというものだ。すると、初めは看守役もふざけながら
やっていたが、段々と役になりきっていき、ついには禁止されている
暴力沙汰にまで発展。実験自体が非人道的だと批難された。


かくも、シチュエーションというものに人間は弱いと同時に
環境に対応するためには、役になりきるということを脳が行って
いることになる。シェークスピアも「人生とは役者である」と言っている。
同時に、社会学でいう「自由からの逃走」にも焦点を当てていきたい。
「自由からの逃走」は一言で言うと、選択の自由を与えられているのに
それから逃走し、自ら考えることをやめてしまうというもの。
ナチス台頭の要因として挙げられる現象だ。
つまり、強力な指導者がいて、今の状況を変えてくれるなら
何でもいいからそいつについていこうってもの。
「THE WAVE」でも、学生はそれぞれ悩みを抱えていたが
クラスに居場所を発見し、そして活動にのめりこんだ。
文革でも同じような事象があったが、あれは恐怖による支配で
自発的なものばかりでもない。
ナチスと「THE WAVE」は比較すると本当に面白い点がたくさんある。
これもドイツ映画ならではの手法なんだろう。
ただ、一週間でここまでなるかは疑問だ。せめて一ヶ月は設定してほしかった。
題材はとてもいいので、心理学的なもの、社会学的なものに興味がある人にはオススメだ。