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神皇正統記口語訳01

本書は、明治28年関根正直纂による「神皇正統記」の訳である。


神皇正統記


大日本は神国である。天祖が初めてその基礎を開いて
日の神*1が長く統治なされてきた。
我が国のみこの制度があったのであって、外国の王朝にはこういった類のものはない。
そのため、神国というのである。
神代には、「豊葦原の千五百秋の瑞穂の国」とも呼んだ。
天地開闢の始めの時から(我が国は)この名前で呼ばれていた。
天祖国常立尊(クニノトコタチ)が陽神と陰神*2に授けられた勅命にもあり
天照大神天孫尊に(国を)譲られた時にもこの名があるので
根本の号であることは知っているべきである。
(国号は)または「大八洲国」ともいう。これは陽神と陰神がこの国を
お生みなされたのであるが、それが八つの島であったことによって
名づけられたのである。
又は「耶麻土(ヤマト)」ともいう。これは大八洲の中つ国の名である。
(国生みにおける)第八番目に当たる。天御虚空豊秋津根別(アマミソラトヨアキツネワケ)
という神をお生みなされ、これを大日本豊秋津洲(オオヤマトトヨアキツシマ)*3と名づけた。
今は四十八国に分かれている。
中洲である上に、神武天皇の東征より、代々の皇都である。
そのため、その名をとって、他の七洲もすべて耶麻土というのである。
*4にも、周の国より出たので
天下のことを周といい、漢の地より起こったことから海内を漢と名づけた*5
それと同様である。
「耶麻土」という言葉は、「山迹」ともいう。
昔、天地が分かれて泥が湿りがまだ乾かず、山を行き来しており、その跡が多かったため
「山迹」という。或いは、古語では居住することを「止」というから
山に居住したことによって「山止」であるともいうのである。
ともあれ、「大日本」とも「大倭」とも書くということは、この国に漢字が広がって
後に国の名前を書く時、字を「大日本」と定めて、「耶麻土」と読ませたのである。
大日孁(オオヒルメ)*6の国であるから、そういう意味とも取れるだろう。
それとも、日の出る所に近いためであろうか。
意味はこんな感じなのであるが、字のままに「日ノ本」
とは呼ばず「耶麻土」と訓読みするのである。
このように、我が国では漢字を訓読みすることが多い。
自然と「日の本」というようになったのは、文字によるところが多いので
国の名になったわけではない。

*1:天皇のこと

*2:男神と女神

*3:本州のことである。

*4:国名ではなく、中国の歴代王朝のこと

*5:前漢の国名は、漢中の地において劉邦が漢王を名乗ったことに始まる。

*6:天照大神のこと。