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塹壕戦の地獄を描く「1917 命をかけた伝令」

「1917 命をかけた伝令」という作品がある。


映画『1917 命をかけた伝令』本編映像

さっそく観に行ってきたのだが、非常に興味深い内容であったので

記していきたい。

1917年、時は第一次世界大戦である。1914年から始まった世界大戦は

終わりの見えない泥沼にはまり込み、各国ともに疲弊していた。

舞台は、西部戦線つまり英仏と独が対峙した戦線である。

スコフィールドとブレイクの2人の若い英軍兵士は、司令部に呼び出され

重要な任務を命じられる。

前線の1600人の部隊が退却した独軍を追撃する予定だったが

独軍の退却は罠であり、追撃を中止させなければならない。

そこで、2人には前線の部隊に伝令を命じられる。

しかし司令部と前線の間には独軍がおり、命をかけた伝令に出るのだった。

 

第一次大戦の地獄「塹壕戦」

 

このあたりの事情は、そもそもの戦略から説明する必要がある。

世界大戦が始まった当初、戦場は近世の雰囲気を残す楽観的なものだった。

しかし、機関銃が登場し、航空機や毒ガスなどの新兵器が投入されると

互いに犠牲を最小限に抑えつつ、相手の陣地に迫るために塹壕を掘った。

塹壕に籠っては、長期間対峙する「塹壕戦」である。

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1916年仏・ソンムの戦い時の英軍の塹壕Wikipediaより)

常に弾丸が飛び交い、砲弾が絶え間なく着弾する中でプレッシャーに耐え切れず

戦争神経症や、水はけの悪い通路には水がたまり、長く足をつけているため

水虫に悩まされることになる。

攻勢を仕掛けて陣地突破を図る試みは両軍の間で何度も繰り広げられている。

しかし、当然塹壕側のほうが有利なわけで、攻勢のたびに何万という将兵

被害を出して失敗に終わるのが常であった。

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英軍のマーク1戦車。登場時には独軍に大きなショックを与えた(wikipediaより)

そこで誕生したのが装甲と大砲を備えた戦車である。

英国の海軍大臣であるチャーチルが開発したため、「陸上戦艦」という

ものだったが、陣地突破に特化した戦車の存在は第二次世界大戦まで

英国における戦車ドクトリンとなる。

戦車は非常に強力で、独軍に大きなショックを与えたが

独軍もまた戦車を投入したし、戦車は重武装ゆえの鈍足で

重砲の的になりやすいという短所もあった。

塹壕戦では、互いに縦に長い線のような戦線を構築しており

前線、第二線…といった帯状に展開していた。

前線と後方の間には、ノーマンズランド(無人地帯)という空白が存在し

敵の残党がいたりした。掃討は後方部隊の役割であったが

映画では、そもそも後方部隊も大きな被害を被っていたため

後方から前線に向かう中では、残党に苦労する描写もみられる。

航空機の存在もまた大きい。大規模な爆撃機はなかったが

(爆弾があっても乗組員が投げ落とす程度)

空中戦は繰り広げられ、「レッド・バロン」ことリヒトホーフェン男爵や

後のナチス・ドイツのナンバー2になるゲーリングも名パイロットで有名である。

(映画「レッド・バロン」も名作なのでぜひ見てほしい)

作中では、英軍が制空権では優勢であった描写があるのだが

「あれ、それなら前線に通信筒を落とせばいいんじゃね?」

と思ったが、実際はそんな余裕はなかったのかもしれない。

 

戦場のリアルを見ても武器を取れるか?

 

本作は、余計なところはまったくない。攻撃開始前に前線へ向かう。それだけだ。

主人公補正でいろいろ都合が良いところはあるにしても

ダイ・ハード」なみに酷い目に遭いながら、あきらめずに前に進む。

合間に擱座したマーク1戦車や、空中戦、銃撃戦があるため

ミリタリーファンにはオススメしたい。

それにしても、死体の描写が結構グロい。これを見てなお

戦場に赴く勇気があるか、試されている気もする。

ぜひ、皆さんにも問いかけたい。本作を見てもあなたは戦場に赴けるか。