ユニークなイタリアの歴史
現在、宮城県美術館(青葉区)では特別展「レオナルド・ダヴィンチと『アンギアーリの戦い』」展が
行われている。
本特別展では、レオナルド・ダ・ヴィンチの未完の大作「アンギアーリの戦い」や
本邦初公開となる「タヴォラ・ドーリア」も注目である。
そんなわけで、僕も観に行ってきたのであるが、なかなか混んでいた。
「アンギアーリの戦い」は人の体が描かれていなかったりと一目で未完とわかるものだが
馬の脚についた筋肉の躍動感や、軍旗を争奪する緊迫した様子が迫力満点に描かれている。
さまざまな人にカバーされ、特にルーベンスが描いた同作は
表情豊かで、実に現代風な描き方となっているのがおもしろい。
また、「君主論」で有名なフィレンツェの政治家・マキャベリの肖像画など貴重な絵画も
展示されており、非常に貴重な機会であるといえよう。
ところで、アンギアーリの戦いとは何であろうか。
1440年、イタリアのヴェネツィア共和国とミラノ公国が橋を巡って
衝突した戦いである。
戦いの規模は数千人で、4時間も続いた。偶発的に発生した事件でいながら
かなり大規模な戦いであった。
損害は双方とも軽微で、1人の騎士が落馬して死亡した程度であるとも言われているが
これは歴史家の間でも諸説あり、最大で実に900人が死傷したのだという説もある。
当時は現在のように統一されたイタリアという国はなく、フィレンツェ共和国、ミラノ公国、ヴェネツィア共和国
ジェノヴァ共和国、シチリア王国などの複数の小国に分かれていた。
イタリア半島の面積は日本の5分の4程度と、決して大きいとはいえないが
さらに複数の国に分かれており、混沌とした様子が伝わってくる。
しかし、これらは欧州でもかなり裕福な国家であった。
地中海貿易により栄え、金融でその財産を増大させたためである。
例えば、メディチ家は教科書に載るほど著名であり、コジモ1世をはじめ
後にローマ教皇、レオ10世となるジョヴァンニ・デ・メディチ
フランス王に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスなどは名前くらいはご存知の方が多いであろう。
レオ10世は芸術を振興し、パトロンとして芸術家を保護したためルネサンスは最盛期を迎えた。
だが、資金調達のために「免罪符」を売りさばき、そのためにルターによる宗教改革を引き起こす要因となった。
簡単に言えば、金持ちのボンボンが金に物を言わせて
いろいろ作らせたら、それがブームになった感じなのだが
歴史的には評価の分かれている人物である。
ともあれ、イタリアの歴史は世界でも極めてユニークで、へんてこである。
だからこそ飽きないのだ。
興味のある方は、ぜひ鑑賞してみてはどうだろうか。