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北朝鮮で相次ぐ粛清、「参謀長」とは?

NHKによると、韓国メディアの情報として11日、北朝鮮朝鮮人民軍李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長が
粛清された模様だと報じた。すでに死刑が執行されているという。
リ総参謀長は最高司令官である金正恩第一書記、朴永植人民武力部長らに次ぐ最高幹部の一人で
作戦局長などを経て2013年に総参謀長に就任した軍のエリート。
軍の内部で派閥を作ったという「分派分子」、汚職が粛清の要因と報じている。
北朝鮮では、粛清の嵐が吹いており、13年には金第一書記のおじである張成沢チャン・ソンテク
15年には玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(当時)が公開処刑となった。
また、張正男(チャン・ジョンナム)上将も14年に国防委員を解任されるなど
ますます軍の党派抗争は激しさを増しているとみられている。
金正恩第一書記は、特に軍への締め付けを強化していると言われており
身内であっても権力安定のためには容赦しないところに、その苛烈さが
現れているといえよう。


さて、総参謀長という肩書き。どうなのであろうか。
支那のメディアでは「朝鮮人民軍總參謀長李永吉」としている。
また、英語では「Chief of the General Staff」とされているから
軍を統括する部門のチーフであるというわけである。
これを帝国陸軍に当てはめると、参謀本部になるわけで、そのチーフであるから
参謀総長という位置づけになろうか。
ところで、帝国陸軍の場合は軍政と軍令を分けていたため
陸軍大臣参謀総長はほぼ同格と言って良い。これに教育総監を加えて
陸軍三長官と呼ぶのである。従って、陸軍大臣の次席は陸軍次官であるし
参謀総長の次席は参謀次長である。


参謀という呼び方が実にややこしいのが、参謀本部のほかに
軍には参謀がいくつも存在していたことである。
例えば、軍の参謀長といえば軍司令官に次ぐ高級指揮官であるが
これは参謀本部と直接関係はない。
帝国陸軍の序列では
参謀本部ー◯◯軍(南方軍関東軍など)ー方面軍ー軍ー師団
となるわけだが南方軍の中にも、総参謀長がいて
総参謀副長がいるのである。どちらが上なのかというと
総参謀部の副長であるから、総参謀長ー総参謀副長であるのが正解だ。
参謀本部の構想そのものがドイツを見本としたためで
作戦の立案や戦争指導については参謀本部の専門としたのが
これほどまでに官僚的縦割り社会となっている所以である。
この構想は、戦術のエキスパートを育成する上で極めて有効であったが
その半面、軍部が派閥を形成して政治への介入を許す結果となってしまった*1


戦後のわが国においては文民統制を敷いているから
例えば自衛隊が政治に参画することは現状あり得ないわけだが
もし軍人が政治に介入するようなことがあれば
まさに乱世であるといえるだろう。
特に、先軍政治を標榜している北朝鮮では、軍の動向次第で
和するも争うもできるのである。

*1:とはいえ、航空兵力の重要性を説いた源田実や、台湾沖航空戦の誤報にいち早く気づいた堀栄三といった優秀な参謀も輩出した。