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曹洞宗はなぜ地方に多いのか

禅 ZEN」という映画をご存知だろうか。
この前、『なぜ浄土真宗は日本でいちばん多いのか』という本で
紹介されていて、興味を持ったので見てみたのだが、期待以上であった。
本作は2009年に公開された邦画で、曹洞宗開祖の道元にスポットを当て
その生涯を描く。
道元役を中村勘太郎、門弟・義介役を安居剣一郎
尼僧になる「おりん」役を内田有紀北条時頼役を藤原竜也が演じるほか
勝村政信、西村雅彦らベテラン俳優が脇を固める豪華キャストが
魅力の一つだ。


この作品を取り上げたのは、まず一つに支那留学のことまで描いているからだ。
大河ドラマなどでもそうだが、例えば大陸がメーンの舞台だとしても
それを描く作品は少ない。
なぜなら、言葉の問題や時代考証の問題があるからである。
その点、本作では道元支那に渡った際、すべて支那語で会話していたので
「あれ、この人笹野高史じゃね?」と思っても
wikiで確認するまでは断定できなかったのである。
キャストが日本人同士でも支那語で話すのは、実に面白いものであった。


そしてもう一つは、実際宗門の監修が入ったのかどうかはわからないが
とてもわかりやすく、曹洞宗の教えを解説していることだ。
御家人・波多野義重に請われて鎌倉に赴いた道元が執権・北条時頼に面会した。
北条時頼が「(修行とは)何をするのか」と聞いたとき
「只管打坐、ただ座ることのみです」と答えた。
当然「は?」となる。
そこで道元は「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり」
と説明する。
しかし考えてみれば、それらは季節の風物詩なので当たり前のことである。
時頼は「当たり前のことではないか」と怒り出す。
「あなたは当たり前のことがわかっていない」と道元は返す。
ここで道元が言いたいことは、当たり前のことを当たり前だと
切り捨てるのではなく、それを受け入れることが大事なのだということだ。
当時、宝治合戦で三浦氏を滅ぼし、その怨霊に苦しめられていた時頼は
「怨念を受け入れること。執権とは『権力に執着する』と読む。これを
捨てない限り、苦しみからは逃れられないだろう」と道元に説かれ
最終的には道元に心を許すようになる。


道元の教えは、学問的であった当時の仏教諸派(いわゆる南都六宗
と比べて、非常に大衆向けであった。
すべての人には仏性が宿っているが、人にはあらゆる欲も備わっており
それらを断ち切ることができないから、仏性を引き出すことができない。
だからこそ、すべての雑念を取り払って禅を行うのだ、という
オープンな教えである。だからこそ、曹洞宗はわが国でも指折りの宗派と
なり得たのであろう。
曹洞宗とは何ぞや?と知りたい人にはオススメである。

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