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「大統領の執事の涙」に見る本当の人種差別

大統領の執事の涙」という映画を見た。
これは、ドワイト・アイゼンハワーからロナルド・レーガンまで
20年以上にわたりアメリカの歴代大統領に仕えた
執事(ホワイトハウスバトラー)を描いた実話に基づく物語。
実在したユージン・アレンをモデルにしたとされている。


物語は、不当な黒人差別が残るアメリカの社会の中で
セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー
が抑圧された農場を飛び出し、給仕として
修行を積み、やがてホワイトハウスで働く中で
さまざまな大統領とのやり取りが描かれている。
ニクソンのように、黒人票が欲しいがためにあからさまに
買収を仕掛けたり、ボンボンだと思っていたケネディが実は
黒人にとって一番の理解者であった点
キング牧師マルコムXなどの公民権運動も物語の核として
登場しており、「白人に仕える黒人」としての葛藤や
公民権運動の活動に参加する息子との確執など
極めて深いストーリーとなっている。


当時の歴史事情を考えると、実際黒人に限らず
有色人種は大きな差別を受けていた。それはバスの中で
白人と有色人で分けられていたり、セシルが上司に嘆願するように
同じ仕事の内容で、技術があるにもかかわらず
給料は白人より少ないばかりか、管理職になる道も閉ざされていた。
過激な人種主義者によって公然とリンチが行われ、黒人というだけで
何日間も拘留される。
アメリカは45年前まで、そんな国だったのである。
白人に仕える黒人を侮蔑する人もいたようだが
キング牧師は作中、こんな台詞を言っている。
「彼らも戦士である。モラルの高さと高潔さで黒人のイメージを変えているのだ」。
映画監督のマイケル・ムーアは、この人種差別問題を歴史的かつ根源的なもので
黒人への偏見は何ら変わっていないと「ボーリング・フォー・コロンバイン」
の中で指摘している。
この不条理を正すためには、繰り返し啓蒙していく必要があること
人種間の差別を無くすことで、初めて正常化できるのではないか。


さて、僕は実はこの作品を見ようとは思っていなかったが
腰を落ち着かせて見るにはちょうどいいと思ったし
フォレスト・ウィテカーが好きだったから
とても楽しめた。ウィテカーの気弱そうな顔は複雑な状況や
困難な状況を表すにはとてもうってつけだし、その複雑な
演技ができる名優だ。「ラストキング・オブ・スコットランド」では
独裁者イディ・アミンを演じたが、これも実際の孤独さや
人懐っこい表情の中に隠れた狂気を表していた。
本作品も、最後のほうは凄く泣けた(ただし一番最後は除く)し
老いた執事のフラフラしたような危なっかしい挙動も
完璧だった。いろいろな方におススメしたい作品である。


この作品を見ると、いかに今のいわゆる「反ヘイト」と呼ばれる連中が
話にならないか、おわかりになると思う。
在特会がデモや街宣をやるのは、必ず理由があるからであって
それさえ無くせれば会は解散するとさえ明言しているのだ。
確かに、現場の熱気で過激なことを口にする人もいる。
だからといって、実際にそれで死人が出たり
暴動になったりしたであろうか。
翻って「反ヘイト」側は無許可で集会やデモを平気でやるわ
関係のない人に襲いかかるわで、これこそヘイトクライム
言わざるを得ない。
やれキング牧師チェ・ゲバラを持ち出してくる連中に言いたい。
あなた方こそKKKであり、ナチではないか。