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「非ブラック企業宣言」は有効か?

昨今、ブラック企業が再び注目を集めており
ユニクロだの、ワタミだのが騒ぎの渦中にある。
ブラック企業をいかに見極めるか、などといったニュースや書籍も登場し
いかに若者を人材を使い捨てにする企業から守るかが
喫緊の課題となっている。
そんな中、「非ブラック企業宣言」というのが流行っているそうだ。


厚生労働省は今年度から、積極的に若者を
雇用・育成する企業を認定する「『若者応援企業』宣言事業」をスタート。
日経新聞によれば、8月末までに全国で約3500社が認定を取得したという。
同事業では、中小企業のうち下記項目をクリアすれば、認定を受けられる。


1、学卒求人など、若者対象のいわゆる「正社員求人」をハローワークに提出すること
2、「若者応援企業宣言」の事業目的に賛同していること
3、以下の就職関連情報を開示していること
・社内教育、キャリアアップ制度等
・過去3年度分の新卒者の採用実績及び定着状況
・過去3年度分の新卒者以外の正規雇用労働者(35歳未満)の採用実績と定着状況
・前年度の有給休暇および育児休業の実績
・前年度の所定外労働時間(月平均)の実績 等
4、労働関係法令違反を行っていないこと
5、事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと
6、新規学卒者の採用内定取消を行っていないこと
7、都道府県労働局・ハローワークで扱っている助成金の不支給措置を受けていないこと


応募企業は、ITや建設業など、人手不足に陥りやすい業種や
業種柄キツいと思われている企業が多いという。
地元の認定企業を調べたいという方は
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jakunen/wakamono/wakamonoouen.html


この制度…はっきりいって、凄くムダである。
まず第一に、強制力が弱く、大企業は対象に入っていない。
かつ、仮に認定されたところで、大きなメリットを感じない。
もう一つは、就職関連情報が自己申告制であるところである。
自己申告制の情報ほど役に立たないものはない。
例えば、4番めの労働関係法令違反を行っていないこと、であるが
中小企業には組合などなく、従業員の立場は非常に弱いものだから
仮に労働法違反があっても、それを告発することはほぼない。
従って、それが明るみに出ることも極めて少ない。
実際、宮城県の企業を見てみても
内情を知っていれば明らかにブラック企業であるところがいくつかあるのだ。
そしてもう一つは、認定されたところでメリットが少ないこと。
情報発信といっただけで、別に補助金が出るわけでもなく、減税されるわけでもない。
そもそも、この制度があまり知られていなければ「情報発信のツールに」といったところで
説得力など皆無である。
試みとしては時代のニーズに即したものであるだけに、とてももったいないと思う。