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「アメイジング・グレイス」と行動する保守

アメイジング・グレイス」という映画をご存知だろうか。
本田美奈子さんなど多くの人がカバーして有名な曲だが
それは、奴隷貿易に携わったジョン・ニュートンが悔恨の意味を込めて
つくった歌である。
18世紀中ごろまで、世界では奴隷制度が主流であって
その多くは、欧州諸国が植民地にしていたアフリカから取引されたのである。
彼らの待遇は人間以下で、それこそモノ扱いされており
今でもその負の遺産は世界中に残されている。


奴隷貿易の総元締めたる大英帝国では
その制度も一般的であって、アメリカ合衆国の独立後も
奴隷制度は相変わらず続いていたのだが
英国議会では、少数の勇気ある人々が奴隷貿易廃止に向けて活動を行っていた。
この作品は、そんな英国国会議員の一人、ウィリアム・ウィルバーフォースが
奴隷貿易禁止を掲げ戦い続けた記録を描いたものである。
ウィルバーフォースは、英国の名宰相・小ピットの親友でもあり
ウェストミンスター寺院の小ピットの隣に埋葬されているという。


俺はこの映画を予告編でたまたま見かけたのだが
議会で戦う熱い男の物語っぽいという程度であった。
しかし、実際作品を見て、その認識が浅はかであったことを実感した。
我々は生まれながらにして本来平等のはずである。
キリスト教なら当然それは知っていることだろうし、合衆国憲法にもある。
ところが、それを許さない情勢があった。奴隷貿易に出資をしている議員もいるし
世界中に持っていた植民地経営は奴隷の労働力によって賄われていた部分もあったからだ。
そんな中での奴隷貿易廃止運動である。「こいつ何言ってんだ?」と白眼視され
売国奴扱いを受けることもあった。ところが、ウィルバーフォースは諦めなかった。
今現在大西洋上に浮かんでいる奴隷船を何とかしたい、その一心があったためだ。
俺はこの姿勢を見て非常に感動した。惜しいかな、彼の演説はあまり作中では出てこない。
しかし、彼の長年の運動は、とても伝わってくる非常に優れた作品であると賛辞を送りたい。
一つだけ言っておきたいが、彼は売国奴などではなく、本物のリベラルだったのだ。
「私は王に仕える身だ」、「戦争と奴隷貿易は別問題だ」などと国家のために尽くそうとする姿も描かれている。
行動する保守運動も、金にならないことで長年のタブーを侵しいろんな利権と揉める
という点では似ているところがある。ぜひウィルバーフォースの情熱を見習い
アメイジング・グレイスの歌詞にあるように今こそ、目を開こう。