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バリー・リンドンに見る戦争ルール

一息ついている時に「バリー・リンドン」を見た。
これは、スタンリー・キューブリックの初期の作品なんだけど
名作の誉れ高い作品だ。
ストーリーは、18世紀のアメリカ。とある青年が
英国軍の将校を決闘で殺してしまったと思いこみ
放浪のたびに出て、上流階級に上りつめる過程を描く。


キューブリックは、18世紀の欧州を徹底的に再現したということで
照明器具は一切使用せず、ロウソクの明るさだけで撮影するのに
NASA向けに開発されたレンズを使用したというのは有名な話。
確かに、ロウソクのほのかな明るさってこんななのかって
感じするな。
注目したいのは、当時の軍隊についてだが
歩兵戦列といって、何列かで隊を組み敵陣に向けて行進する。
その間、敵陣からガンガン撃ってくるが、それにひるまず
行進する。で、マスケット銃の射程距離の50メートルに
入ったところで射撃を行うわけだ。
兵隊は恐くないんですかってのは当然の疑問だが
実際マスケット銃の命中率は高くなかったらしい。
それに、逃げたりしたら将校に殺されちゃうし。
将校は、軍服が兵卒とちょいと違う。で、隊の指揮を取り
秩序正しく戦闘を進める。そのため、敵味方ともに
将校を殺傷しないというのが暗黙のルールだった。
バカバカしいと思われがちだが、当時の戦争には「紳士的に」
という考え方があったわけだ。
その戦争の形態が変わってきたのが、ナポレオンあたりからだと
言われている。従来の野砲による砲撃に加えて、戦術の多様化
騎兵による突撃が花形ととらえられはじめた。
さらに時を経て、日露戦争で機関銃が導入され、さらに第一次大戦でも
運用されるようになると、騎兵による突撃や歩兵による行進が
まったく意味を成さなくなり、変わって戦車や重火器が
戦力の中心を占めるようになる。